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翌日。
がらがらと教室の扉を開けると、教室にいる女子の視線(と言っても数人)が一気にこちらに集まってきた。
一瞬たじろいたが、何とか持ち直して自席へと向かう。
そのあとから入ってきた女子からも、続々と視線を浴び続ける。
何なんだ、今日は。
「・・・やっぱりAさんて・・・」
「・・・男好き？」
「ははっ、森本先輩と・・・」
「なんであんなに女子を敵に・・・」
ああ、何だそんな簡単なことだったのか。
昨日の樹先輩との会話は、きっと伏線だったに違いない。
やっぱり森本先輩って、モテるんだろうな。
そりゃそうだよな、あのビジュアルだし、あの運動神経だし、あの性格だし。
でも、森本先輩はあなた方に振り向かないってことは、私しか知らない。
私は、それだけに優越感を感じる。
なんて、醜い人間なんだろう。
そんなことを考えていると、ホームルーム開始のチャイムが鳴った。
教室を見回すと、あの赤い頭が見えない。
「えー、最近インフルが流行り始めてるので、気を付けるように。手洗いうがい、しっかりしろよー」
季節外れすぎないか、流石に。
でも、きっと樹先輩はインフルったんだろうな。
昨日あれだけ至近距離にいた私、大丈夫だろうか。
樹先輩は、学校サボれるとか思って喜んでいるのかな。
それとも、勉強が追い付かなくなると思って焦っているのかな。
今日、私に笑いかけてくれるあの人は、いない。
それが何故か、無性に寂しかった。
1人には慣れていると思っていたのに。
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作者名：nanaco | 作成日時：2024年2月4日 10時
