４８ ページ1
「慎太郎とAちゃんはさ、結局どういう関係なわけ？恋人？」
「は、？」
「ちょ、樹」
知らないとはいえ、この人、森本先輩の目の前でそれをぶっこむか。
やべえな。
「・・・そんなわけないじゃないですか、どこにこんな堅苦しいカップルがいますか」
「いやでもさ、二人結構仲いいじゃん？どうなの？そこんところ」
「・・・樹、別にどうもないから。この話題やめよう、ね？」
森本先輩の表情が苦しそうで、でもどこか諦めているような、顔をしていた。
あれ、こんな感じの表情、どこかで・・・
ああ、そういえば、樹先輩も、似たような表情をしていた。
「えー？まあいいけどさ」
「じゃあさ、Aちゃんと樹はどうなの、そういう気があったりするの？」
うわあ、この人Мなのかな。
何で自ら傷つく可能性がある方向に向かってっちゃうかな。
まあ九割九分ないけど。
「俺？俺はAちゃんのこと好きだよ、かわいいし」
「・・・は、え？」
似たようなことを言われた記憶はある。
ああ、あれだ、一軍女子に絡まれたときのやつだ。
私と樹先輩が付き合ってる付き合ってない論争の時だ。
でも、まさか。
「あ、好きってあれね？恋愛感情がどうのこうのとかじゃなくて、友人として好きかどうか、っていう事だかんね？いや慎太郎勘違いすんなよー！」
「あ、そういう事ね」
ああ、よかったそういう事か。
森本先輩も、心なしかほっとした顔をしている。
いや、当たり前のことなんだけれども。
私のことを好きな人なんて、よっぽどの変人じゃない限り存在しないだろう。
そんなこと、分かってたのに。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 150人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：nanaco | 作成日時：2024年2月4日 10時
