あなたとわたし。 (ページ6)

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「・・・ただいま」

「おい、酒」

「・・・ごめんなさい、買えなかった」

「あ！？」

家に帰った途端、この有様だった。

頬を張られ、髪の毛を掴まれて窓際まで連れていかれた。

「いっ、たい」

「ここで頭冷やせ」

父が窓を開け、部屋の中に冷気が入り込む。

ベランダに押し入れられる。

そして、窓越しの父が、鍵を閉め、カーテンも閉めた。

「・・・さっむ」

星がきれいだった。

さっきベンチに座ってた時も、星がきれいだった。

そこにいたことを考え始めると、永瀬くんのことを思い出す。

あの人、どんな人だっけ。

もう何か月も同じ教室で過ごしているけど、私はあの人のことをたいして知らない。

あの人と話したことは・・・、ある。

何て話したっけ。

当時のことを思い出そうにも、寒さが邪魔して思い出せない。

確か・・・あの日は、今とは正反対の汗ばむ日のことだったように思う。

大した話はしていない。

ただ、事務的な確認をしたのが初めだったような。

・・・いや、違うかも。

まあ、どうでもいいか。

永瀬くんの、「また明日」という言葉を、不意に思い出す。

何であんなことを言ってくれたのだろう。

私がそう言ったのを、返しただけなのか。

明日が来るかどうかなんて、明日にならなきゃわからない。

でもどこかで確かに、私の中で永瀬くんの存在が、少しずつ少しずつ大きくなっているのが、分かる気がした。