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きっと、何も買わずに帰ったら、きっと父に怒られる。
怒られて、殴られて、髪を掴まれて、ベランダに出されて、鍵を閉められる。
そして、夜が明けるか、父の気が済むまで、ずっとそこにいる。
父の逆鱗に触れたときは、大体そうされる。
だから、私の体はたいていの暑さ寒さには耐えられるようになった。
しかしいくら慣れたと言っても、流石に最高気温をマークした日だったりとか、雪が降っているときは、つらい。
今日はなかなかに寒い日だ。
もし今日外に出されたら、と思うと、背筋が凍る。
「・・・帰りたくない」
誰に聞かせるでもない言葉か私の口を離れて、宙を漂う。
たまたま近くにあった、小さな公園。
そこのベンチに座り、空を見上げる。
ただっぴろい空に、雲と星が点在している。
ため息をつくと、白い息があたりに広がった。
もしもずっとこうしていたら、父は私を心配するだろうか。
「・・・しないだろうな」
分かり切った結論だ。
きっとここで凍え死んでも、「ああそうか」ぐらいにしか思わないのだろう。
もう高校生なんだから、きっと逃げられるはずなのに、何で私はずっとあの家で暮らしているんだろうか。
改めて考えると、結構すぐに答えが出てくる。
母を殺した私から父への贖罪、みたいな感じ。
こうしていて、どれくらいの時間がたっただろうか。
「・・・あれ、Aさん？」
「え、？」
声がした方を見ると、
「さっきぶりやな」
「・・・何で」
さっきぶりの、永瀬くんがいた。
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作者名：nanaco | 作成日時：2024年1月30日 19時
