あなたとわたし。 (ページ3)

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「って、ちょっと何お酒買おうとしてんの、俺と同い年やろ、ダメやん」

中学生のころに大阪から転校してきたという永瀬くんは、関西弁が特徴的だ。

物腰が柔らかくて、誰よりも正義感が強い。

クラスで起きた小さなイジリにも目をつぶらない。

１６０センチの私よりも十数センチ高い、背丈。

そして何より、顔がいい。

どこのアイドル連れてきたんですかって言うレベルで、顔だちが整っている。

そんでもって勉強も運動もそこそこできるとかいうどこの少女漫画から引っ張ってきましたかって言うレベルで、モテる。

この人を好きにならない人はいないらしい、知らないけど。

「・・・どうしても、買わなきゃいけないの。見逃してくれませんか」

「ダメ。ほら、返して」

「お願いします。これ買っていかないと、これだけでも、これ最後にするから、だから、お願い・・・」

私がそう言って頭を下げると、永瀬くんはとても困った顔をした。

「・・・すまん、ダメなものはダメ。見逃せん」

「・・・そっか、」

私はかごからビールを取り出して、カウンターに置いた。

「お願い、この事、誰にも言わないで。先生にも、クラスメイトにも。今日のこと、全部忘れて」

「え？ああ、うん。分かった」

私にとって大事なのは、そこだけだった。

「じゃあ、また」

「っ、ああ、うん。ありがとうございました。またのご利用を＿＿＿＿」

永瀬くんの言葉を最後まで聞かないまま、私は眩しすぎるコンビニから立ち去った。