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私の家は、父子家庭だ。
私の母は、私が生まれたと同時に天国へ旅立った。
母が死んだのは、私のせいだ。
ずっとそう言われながら生きてきた。
ずっとそうなんだと思って生きてきた。
今父は、座布団に座って酒を飲んでいる。
「おいA、酒」
「・・・もうないよ」
冷蔵庫を開けて確認する。
父のお気に入りのビール缶はもう冷蔵庫から姿を消していた。
「買ってくればいいだろ！気が利かねえな、母さんと違って」
「・・・行ってきます」
床に転がっていた財布をひっつかんで家を飛び出した。
父には、逆らえない。
ずっと私を養ってくれたのは、他でもない父だ。
ずっと私のことを嫌いながらも、私のことをここまで育ててくれた。
それを仇で返すことなんか、できない。
家の近くのコンビニが、もう夜中の１２時にも関わらず眩しく光っている。
これだけせわしなく動いて、疲れないのだろうか。
私はまだ１７歳だから、お酒は買えない。
だからせめてもの抵抗として、フードを深々とかぶり、マスクをつける。
これじゃ、まるでどこかの芸能人だと笑いたくなる。
目当ての缶を見つけ、３つほどかごに入れる。
これだけあれば、明日は買いに行かずに済むだろう。
「・・・これ、お願いします」
「年齢を証明できるものは・・・って、あれ」
店員の人が、突然言葉を止めた。
「あの、間違いだったらすまん、A、さん・・・？」
「っ、え」
突然、自分の苗字が呼ばれる。
反射で店員のほうを見ると、
どこかで見たことのある顔だった。
「え、っと、あなたは、」
「俺や俺。永瀬廉。分かる？」
その顔は、クラス一の人気者の顔だった。
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作者名：nanaco | 作成日時：2024年1月30日 19時
