27 ページ27
.
わたし、いつのまに彼のことーー
太宰「……自覚した？」
『………あ、えっと……』
彼氏にこんな事を言うなんて間違ってる……
でも、自覚してしまった以上
もう後には戻れない
『ごめん、治……。わたし、
中也くんが、好き』
治の瞳を真っ直ぐ見つめ、
しっかりと宣言すると
治は優しく微笑み、私の頭を軽く撫でた
治「……知ってたさ、それくらい。最初からね。
でも、それでもAを捕まえたかった。
Aは、僕の……
ーーー初恋の人だったからね」
少し切なげに言葉を紡ぐ彼の瞳が
僅かに揺れたのを見つめ
どうしようもないほど治の気持ちが伝わって
申し訳なさで私の胸は埋め尽くされた
でも、その気持ちに惑わされちゃいけない。
私はもう、治が好きなのではなく
中也くんが好きだと気づいてしまったから。
『ごめんね、治……わたし、』
太宰「いいよ、わかっていたことだから。
だけど最後に一つだけ……」
なんだろう？と疑問符を浮かべる私の手を引っ張り
体制を崩した私を支えたかと思うと
次の瞬間には、
私の唇は何か生温かい感触が触れていた
目の前には治の白い肌と、私を見つめる甘い視線ーー。
驚いた私が治の肩を押すよりも前に
彼は私から身を引いた
熱を帯びた唇……、初めて……だったのに……
太宰「ふふ、彼氏なんだから
最後にこれくらい許されるだろう？」
そう言って笑いかける治に
何も言えなかったのは
私をまっすぐに見つめる治の瞳が
まるでどこか遠くを見るように
寂しげに見えたから
『……ごめん、治』
わたし、貴方の気持ちには応えられない…。
あえて言葉にはしなかった。
頭の良い彼はそんなこと
痛いほど、苦しいほどわかっているだろうから。
太宰「……よし、中也にも最高の嫌がらせが出来たわけだし
僕はもう行くよ。
こんなこと言いたくないけど
……大切にしてもらいなよ。」
治は私のおでこにそっとキスを落とし
どこかへ歩いて行ってしまった
最後に見せた、治の瞳は
あまりにも優しく、そして儚かった
『……はぁ。もっと前に気づいていれば…』
あんな顔させずに済んだのかな……
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 118人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
パンパース - 完結、おめでとうございます！今回の作品も中也が可愛くて夢主が可愛くて太宰さんがかっこいい作品でした。個人的には太宰さんが夢主に中也の事が好きと自覚させる所がすごくすごく大好きです！♡ (11月25日 21時) (
レス) id: cbd0df663f (このIDを非表示/違反報告)
琉菜(プロフ) - 虹さん» やぁーーー♡虹さん！いつもありがとうございます♡いつも大好きな作品だと言ってもらって嬉しいです！！ (11月25日 12時) (レス) @page31 id: d038000651 (このIDを非表示/違反報告)
虹(プロフ) - きゃああ完結おめでとうございます！！！！！！もう最初から最後まで大好きな作品です…またお会いしましょう！！改めて完結おめでとうございます！！！！！ (11月25日 11時) (レス) @page31 id: 12afbbff79 (このIDを非表示/違反報告)
琉菜(プロフ) - 雪さん» ありがとうございます♡おかげさまで無事完結させることができました！ (11月25日 11時) (レス) id: d038000651 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 琉菜さん» はい、楽しみにしてます！ (11月21日 20時) (レス) @page24 id: 2530509e5a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
