魔法と怪盗は甘くて酸っぱくて苦い【snr】 (ページ35)

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水穂やうらたの制止も効いていない。
これを見る限り、坂田に理性はもう存在していないようだ。

「暴走状態…？」

この様子を見る限り今はそれしか考えられない。

おまけに水穂は血を出している。
坂田を止めるのは絶望的だろう。

「坂田、止まれ！それはお前の契約者だ！」

うらたが坂田に叫んで呼びかけるが、やはり聞く耳を持たない。
鎖で体を止めようとするが、ぶちぶち、と切ってしまう。

「俺はまーしぃ達のところで援護してくる。
…紗奈は、アレ、頼むで。」

センラが指差したのは、坂田達でも、志麻達でも無く。
服についたほこりをとって立ち上がるエルドの姿だった。
坂田達が止めていたこともあって、今はそれがなくなり、もう自由の身となっている。

「…分かった。」

銀髪の魔法使い。
それを倒す自信は無かった。

さっきできたのは、エルドが手加減をしてくれていた。
きっと追い詰められても、逃げられるもしくは自分達を倒す自信があったのだろう。

捕まる時に口角が上がっているのに紗奈は前々から気付いていた。
きっと今回は手加減なし、真剣勝負となる。

ペンダントに触れるとひんやりとした感覚がした。

「宝石に変えられし、神武器よ。
ありのままの姿に…戻れ。」

ペンダントは輝きを放ち初め、姿を現す。

あの時初めてセンラに見せた時と同じ剣。
雷光剣。

「…倒す。私は仲間と生きて帰る！
まだやりたい事沢山あるから…！
あんたが何を考えてるかなんて分からない。
絶対に私達をあんたの思い通りにはさせないから！」

剣を握り直し、エルドに向ける。
エルドは妖美な笑みを浮かべ、杖を出した。

「勝負が決まる時__…それはどちらかが命を落とした時よ。」

その言葉を聞いて紗奈は噛み付くようにエルドを睨んで飛びかかった。

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