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「まふまふさん、入りまーす!」
___本気で、幻かと思った。
それなら神様は随分ひどいことをしてくれるなあって、そう思ったの。
だってずっと想っていた人が目の前にいるなんてそんな奇跡みたいなこと、私に起こるなんて思っていなかったから。
「っ、真冬……?」
「え、A…?A、なの…!?」
彼の姿を認めた途端、真冬の顔が涙で歪んだ。
もう二度と会えないって、そう思ってた。会わない方がお互いに幸せだって、本気で思ってた。
でももう自分の気持ちに嘘をつくのは難しくて、ほんとのところはもうずっと真冬に会いたくて会いたくてたまらなかった。
「っ、あの、会いたかった…。自分から離れたくせに、今さら虫がいい話なのはわかってる……ほんとに、ごめんなさい…!」
ボロボロと情けなく涙を零す私の腕をあの時と同じようにそっと引いて、彼の腕の中に閉じ込められる。
しゃくり上げる私を宥めるように、ポンポンとリズム良くさすられる背中を心地よく感じて縋り付いた。
「いなくなったって知って本当に辛かった。穴が空いたみたいに何かが足りなくて……思い出せないのに泣きたくなって。Aがいないだけで、自分がこんなに腑抜けになるなんて、思ってもみなかった。」
噛み締めるみたいに言う真冬の言葉を一つも聞き漏らさないように、真冬の身体に身を寄せた。
一層ぎゅっと抱きしめる力が強くなって、人前だということも忘れて縋り合う。
「っ、うん、ごめん、ごめんね…!すき、すきなの。あいしてる…ほんとに真冬のこと、」
「わかってる、もうわかった。…僕もAのこと、あいしてる。…もう、離れたくない」
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ななは(プロフ) - れいさん» 暖かいコメントありがとうございます( ; ; )終わりまで全力で更新したいと思っているので、ぜひ読んでやってください! (2020年1月29日 1時) (レス) id: 6610b89963 (このIDを非表示/違反報告)
ななは(プロフ) - ちょこさん» コメントありがとうございます!続き早く更新できるように頑張らせていただきますねー! (2020年1月29日 1時) (レス) id: 6610b89963 (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - ななはさん! 私生活ともに御忙しいとは思いますが、更新まってます。 結末 とてもたのしみに 待っております! (2020年1月24日 23時) (レス) id: 944971e4af (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - 更新が止まってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます!ハッピーエンドになってほしい! (2020年1月15日 20時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
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