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お前のおかげで【りぶ】 ページ5

優雅にピアノを弾く彼の後ろに立つ。

細い指とか、サラサラの髪とか。
りぶのことが本当に好きだし、格好いい。

格好いい、んだけど。
…さっきからピアノに熱中しすぎて私のことに気付かないの、なんなんですか。

ちょっとイラッとして、彼の肩をポンポンと叩きながら名前を呼ぶ。

「おい、りぶさん。」
「んー?なに?」

悪気なんて少しもなさそうにピアノの演奏をやめて私の方をくるりと振り向く。

…そんな彼に、ピアノより私を見てよ、なんて言えるはずもなくて。

「んーん、やっぱ何でもない。」

そんな、噓を吐いた。
でもそんな嘘がりぶに通用するはずもなくて。
ちょっとだけむっとした顔をしたあと、ふっと笑った。

「なに、どうしたの。…もしかして、ピアノに焼きもちでも妬いてんの?」

そう言って、きゅっと私の手を握る。
そんな風に、すぐに私の気持ちを見抜いてしまうりぶが好きで堪らなくて。
けれど、何だか今はちょっとイラついて。

「うるさい…。もうっ、何でもないって言ってるじゃん…!」

思わず、彼に握られた手を振りほどいてしまった。
あっ…と訂正しようとするも、彼はくるりと後ろを向いたまま振り向かない。
機嫌…損ねちゃったの、かな。

そんなことを思っていると唐突にりぶが話しだした。

「ピアノ、続けてるの。お前のおかげだから。」
「へ…?」

意外なその言葉に、思わず変な声が出る。
“りぶがピアノを続けている”
そのことに私が関わっているなんて、思いもしなかったから。

「それ…どういうこと?」

ただただ気になって、りぶに問う。
りぶが振り返ると、仄かに赤い顔をしていて。
その表情が少し妖艶で、ドキッとする。
彼は笑って、そのままの意味だよと続けた。

「Aが幸せそうに俺のピアノ聞いてるの見ると、頑張ろうって気になるんだよね。
…Aの笑顔が、原動力なんだよ。」

だから、笑っていて。
そう言ったりぶの優しい顔に、私の顔は真っ赤になってしまった。

・:*+..:+


Twitterで書いた短編もこちらに上げていこうと思います!
こちらの作品もTwitterで書かせていただいたものです…!

にねんよんくみかがくがかり!【そらる】→←可愛い【まふまふ】



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設定タグ:歌い手 , 短編集 , 恋愛   
作品ジャンル:恋愛
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あまと(プロフ) - すごく癒される。読んでてなんか幸せな気分になった。ありがとう (2019年6月11日 22時) (レス) id: 47baa46596 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ななは | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年12月31日 3時

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