【だから、好きだって言ってんじゃん】 ページ40
【side A】
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深澤にカーディガンを押しつけて、一方的に逃げ出してしまってから、若干気まずい。
あの後の体育の授業も、
暇な自習時間も、
深澤を思わず目で追ってしまって、
深澤がこっちを向いた気がしたら目を背けての繰り返し。
めるるには「喧嘩でもした〜?」と心配がられたけど、
私のなんとも言えない表情をみて、
「ふーん?」とニヤニヤした顔を浮かべられた。
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全部の授業が終わって、帰り支度をしていた時。
め「あ、今日渡辺と帰るんだっけ?」
めるるにそう言われて思い出した。
「! すっかり忘れてた…」
め「渡辺かわいそー!笑」
「…渡辺くんさ、なんか怒ってた顔だったよね?」
め「?いつもそんな顔じゃない?」
渡「ふざけんなよ笑」
めるるがキャッキャと笑っている背後から、不満げな渡辺くんが突如現れた。
め「うわわわ!渡辺?!」
渡「よっ。
ねえ、ちょっとAのこと貸して?」
め「いーけど、ちゃんと返してくれるの?」
渡「状況次第では返せない、かも」
「…何されるんですか私」
私がそう言うと、渡辺くんとめるるはクスクス笑った。
め「まぁわかった!
A!渡辺になんかされたらすぐラインするんだよ?」
渡「別に酷いことしないから笑」
め「ふふっ、じゃあねー!また明日!」
めるるは元気よく手を振って、教室を出て行った。
「ばいばい」「またね」なんて言葉が飛び交って、
だんだん人の気配がなくなっていく教室。
渡辺くんは私の前の席に座って頬杖をつく。
何を話すわけでもなく、そのまま何分か過ぎて…
気づけば、渡辺くんと2人きり。
渡辺くんは私の手を叩いた後、突然顔を覗き込んできた。
「?!なに…!」
怒ってはない…みたいだけど、
なんだかちょっと照れくさい距離感。
私が思わず目を逸らそうとすると、渡辺くんは「こっち向いて」と低い声で囁いた。
渡「… … …単刀直入に言うけどさ」
「…え?!なに言われるんだろ…」
渡「Aって、」
「怖いなぁ…なんの話…」
渡「ふはっ、自分の気持ち実況する奴初めてみたんだけど笑」
神妙な空気が渡辺くんの笑い声で晴れて、
私も思わずクスッと微笑んだ。
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なな(プロフ) - Reina0505さん» 教えてくださってありがとうございます!🥲💓修正しました🥹💕 (2022年10月16日 2時) (レス) id: 099591bc88 (このIDを非表示/違反報告)
Reina0505(プロフ) - 11の途中のあのなぁ、ってところ深になってますよぉー! (2022年10月15日 23時) (レス) id: e9a7ce7fe3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なな | 作成日時:2022年9月18日 19時