国家錬金術師とへし切長谷部(極)がゆく 5振り目

226話 ページ47

「アンタが見習いに来て…その時はどうしようもなく人間が嫌いだったが、何度も剣を交(まじ)える内に好きになったんだよ！」




堰(せき)を切ったかのように述(の)べる和泉守兼定に、その場は水を打ったように静まり返る。

だが、それも一瞬…




「良いぞ、良いぞ！！」

「よく告白したな！ それでこそ男だ！！」

「もっとやれやれ！！」




ベロベロに酔った刀剣男士達が煽(あお)る。さすがの愚妹(ぐまい)も衝撃を受けたのか、ポカンとした表情で固まっていた。




「それで…答えはどうなんだ？」

「え…えと…」

「俺は…今、聞きてぇんだ」




ずいずいと近付いてくる和泉守兼定に、愚妹も後退(あとずさ)りする。
しかし、それを救うように、もう1つの声が響いた。




「っちょ、ちょ、ちょっと待ってください…！」

「ご、五虎退くん…？」




私が助けた五虎退…愚妹の刀となった後は、修行し〈極〉となり、今は愚妹の近侍(きんじ)を務(つと)める刀だ。

そんな彼が、愚妹と和泉守兼定の間に立って、
腕を広げている。




「ぼ、ぼ、僕も…僕もあるじさまの事が好きですぅ…っ！」

「「！？」」

「い、和泉守さんに…あるじさまはあげないです！」

「あげるって…私ちゃん、物じゃないっちゃよ…」




愚妹の呟きも無視され、和泉守兼定と五虎退〈極〉の間に火花が散る。




「あ、あるじさまは渡しません！」

「俺だって諦めねぇよ！」

「「ぐぐぐぐっ！！」」




睨み合い。
まさか、目の前で人の告白を目撃するなんて…
まぁ、人ではないが…




『青春？』

「いや、違ぇだろ星屑(ほしくず)」

『む、この状況…どうすれば良いと思う？
鬼殺し』

「知らねぇ〜、時間がなんとかしてくれるんじゃねぇのぉ？」

『む…そういうものか』




しばらく2振りと1人を見ていれば、結果、答えは保留(ほりゅう)という事になった。

…それもそうだろう。この酒の入った状況で、正しい判断を下(くだ)せるかと言えばNoだ。




『一件落着…か？』

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