国家錬金術師とへし切長谷部(極)がゆく (ページ47)

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44話ページ47

動物達を野に放(はな)つ…
ように、本殿(ほんでん)へ放った。

[浦島虎徹様はお優しい方なので、私めを攻撃したりはしません！亀をお届けに参(まい)ります！！]

との事で、こんのすけの言葉に甘え、浦島虎徹の亀を届けてもらった。
つまり、今は離れで長谷部と2人きり…
そんな中、そこそこな問題が発生している。

『さて、長谷部』

「はい」

寝間着(ねまき)姿の私と長谷部は、布団の上で正座し向き合っていた。
その、そこそこの問題というのはーー

『布団が1組しか無いが…どうする？』

「俺が床で寝ます。主が布団をお使いください」

『返答の機動も速すぎるぞ長谷部』

布団が1組しか無い。
…何故？おかしいだろう、どう考えたって。
私的には、少なくともこんのすけの分も含め、3組は布団が欲しかった。

そして、至極(しごく)当然のように私に布団を譲(ゆず)る長谷部。
…それは駄目だ。

『長谷部が寒い思いをするくらいなら私も床で寝る』

「主っ…しかし、それでは主が風邪をひいてしまいます…！」

『なら、間をとって2人で使おう』

「え？」

そうだ。それが良い。
というか、それしか方法が無いじゃないか。
離れはそれなりに寒い…それも夜だ。
暖(だん)を取るためにも良い。
一石二鳥だ。

「あ、主と俺が床(とこ)を共にするというのですか！？」

『嫌ならいいが…』

「そんなっ…！！
ありがたき幸せ…主命とあらばなんでもこなしてみせましょう…！！」

『いや、普通に寝るだけだからな？』

「えぇ…えぇ…！
理解しています…！！
それでも嬉しいのです…！！」

私はまだ冷たい布団に入る。
長谷部も恐る恐る私の横へ入って来た。
…うん。まだ寒いな。
そして、やはり物足りない。

『……なぁ、長谷部』

「？…どうされました？」

『抱き締めて良いか？』

「っ！？！」

…そうだ、私はいつも長谷部(本体)を抱き締めて寝ていた。抱き枕代わりというやつだ。
お母様を失ってから、私は何故か長谷部(本体)を抱き締めると安心するようになった。
その癖が抜けきらない。

「しゅ、主命とあらば…！」

『じゃあ、言葉に甘えて…』

向き合うように抱き締め合う私と長谷部…
あぁ、安心する…

彼の激しい胸の鼓動(こどう)を聴いているうちに……私は眠った。