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あれから数週間が経過し、ゴールデンウィークが近づいてきた。
私にとってゴールデンウィークとは、ガチな部活動に所属している人達は地獄、帰宅部にとっては天国のようなものである。ゴールデンウィーク、何しようかなあ・・・なんて思いつつも、もう少しで中間考査があるので勉強しなきゃという考えも湧き出る。
「おいこら灰羽!お前俺の授業で寝るな!泣くぞ!」
「仕方がないじゃないですか!先生の教え方が眠くなっちゃうんですから!」
・・・・・謎の会話も繰り広げられているが。
隣の席の紅葉はくすくすと可愛らしく笑っており、他のクラスメイトもそんなリエーフを見て笑っている。先生も怒り口調だが、ノリのいい先生で生徒からの信頼もある。
「ったく・・・天都!お前代わりにこの問題解け!」
『はぁい』
黒板に書かれているのは容易な計算式だ。公式さえ覚えていればすぐに解ける問題。先生からチョークを受け取り、サラサラッと答えを書けば大きく丸を付けられる。
「お前も天都を見習えよ!」
「いや、俺には無理ですって!」
いや、この問題解けなくて中間どうするんだって話だけどね。
席に座って苦笑していれば、紅葉がちょん、と私の肩をつついた。「なあに?」と問えば、紅葉はまたもや可愛らしく笑いながら言った。
「優樹菜、中間でもまたプチハプニングあるんじゃない?」
『縁起でもないよ?それ。紅葉が言うと現実味が帯びるから・・・』
「ふふ、私は楽しそうでいいと思うんだけどなあ」
『えええ?』
二回目の人生。二回目の高校生活。
だからこそ、勉強面では誰からも劣りたくないってのは事実だ。だけど・・・そのせいでまたバレー部に迷惑をかけられるのは困る。非常に困るのだ。
紅葉は案外鋭いところがあって、冗談でも本気に聞こえる時がある。
そう、今回のようにね。
・・・・・まさかだと思うけど、ゴールデンウィークでも何かあるんじゃ・・・・。
いや、考えれば考えるほど悪いほうに行く気がする。何も思わないでおこう。
私は未だ繰り広げられる口論を前に、考えを頭から追いやったのだった。
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はる - 初コメ失礼します!!この小説大大大大大好きです!!これからも頑張ってください!!応援しています!! (12月18日 13時) (レス) id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆゆ | 作成日時:2022年12月26日 22時