第二章ー１ ページ9
☆
「ど、どうしたんだいその怪我・・・！？」
『えーっと・・・あはは・・・』
「笑い事じゃない！」
伊吹と別れたのち、そのまま与謝野の家へと帰れば出迎えてくれた彼女は一気に驚きと焦りを露にしていた。なんせ、優樹菜が探偵社を出た時とは違って怪我をしていたのだから。
額からは鮮血が流れているし、首元も誰かに掴まれたかのように赤くなっている。服も薄く汚れてしまっていた。
「・・・・なにかあったのかい？」
『・・・・・少し』
伊吹のことを言う気にはなれなかった。今起こっている事件の犯人は彼で間違いないだろう。しかし、その犯人が自分の知り合いだなんて、どう説明すればいいのだろう。
気落ちしたように暗くなる優樹菜を見ながら、与謝野は救急箱を取りだした。幸い、深い怪我ではない。一日二日程度である程度はよくなるだろう。与謝野の異能を使えばあっという間に直るのだが「余程のことがなければ勘弁してあげてください」と国木田が根回しをしてくれていたのである。これには感謝しかない。
優樹菜の絹のような前髪をどかし、傷口を消毒したあとにガーゼを当てる。消毒をした際、染みてしまったのか少し彼女の肩が跳ねたが頑張ってこらえているのを見て与謝野は思わず笑ってしまった。
「アンタは優しいからこそ、いろいろとため込んじゃうんだろうね。だけど、無理はするんじゃないよ」
優しく言う与謝野に、優樹菜は目を瞬かせる。ガーゼを当て、乱れた前髪を直しながら彼女は与謝野に言った。
『それ、そっくりそのままお返しします』
「え？」
『与謝野さんだって凄くお優しいではありませんか。・・・・その優しさで、あなたが壊れてしまわないか心配になるほど』
与謝野は無意識に、自身の蝶の髪飾りに手を伸ばしていた。彼女にとって、とても大切なもの。「まったく」与謝野は呆れたように、だけど優し気に笑う。
「本当、優樹菜は凄いよ」
『・・・・』
「優樹菜？」
＿＿＿＿＿＿いいえ。
優樹菜は視線を窓のほうへと向ける。真っ黒な闇に浮かび上がる、一つの黄金。
彼女の口元が、ゆっくりと弧を描いた。
『どうやら私は・・・・・�牴燭�に呪われてしまったよう�瓩任后�
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ゆゆ(プロフ) - りんりんさん» ありがとうございます！頑張らせて頂きますね！！ (2022年12月6日 20時) (
レス) id: ee2abfb454 (このIDを非表示/違反報告)
りんりん - 続き楽しみにしてます!! (2022年12月3日 12時) (レス) @page21 id: 36ec43f1b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆゆ
| 作成日時：2022年11月20日 0時
