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第五章ー3 ページ27




「・・・・・よかったのかい?」

『?何がですか?』

「水蓮君のことさ。彼、君と仲が良かったんだろう?」




______事件は終幕した。

女性傷害事件の犯人でもある二葉亭四迷。彼の異能は異世界から人を呼び寄せる代償に自身にストレスや痛みを伴うらしい。その衝動で夜、か弱い女性を襲い、その被害者も精神攻撃を受けたという結果だった。


ポートマフィアは異能特務課が来る前に立ち去っていき、他の異世界人もまた、彼らが来る前に優樹菜が元の世界へと帰した。

伊吹とはしばらく会えない。・・・いいや、もう二度と会えないかもしれない。


それなのに彼女は自分の欲よりも彼らの気持ちを優先していた。それに気づかない太宰ではない。



『・・・・・私、昔から大事に大事に育てられてて、外のことを知るような人ではなかったんです。でも、外の世界に連れ出してくれたのが_____水蓮君でした』



出会ったあの日からきっと、彼には惹かれている。たくさんの恩がある。今の自分でいられるのは、きっと彼と出会ったから。



『私は彼から多くの物を貰いました。・・・・それを返したい、と思うのはただの偽善でしょうか』

「______いいや?」



太宰はふっと笑うと、いつものように優樹菜の頭に手を置く。



「君が考えて、悩んだ末の結果だ。誰がどう言おうとも、それが正しいさ」

『・・・ふふ、本当太宰さんが言うと自信が湧きます』

「それは良かった」



『・・・・・太宰さん』

「なんだい?」




優樹菜は髪を束ねていた組紐を解く。バルコニーから吹く風に煽られ、その髪は風に乗って靡いた。その髪を片手で抑えながら、彼女は真っすぐと輝く満月を見上げながら呟いた。




『この先_____何があっても、何が起きても。私は探偵社のために動きます。でもそれは探偵社のためだけではないです。・・・・・太宰さんも、私にとっては大事な人です。勿論、社員の人も』



探偵社という一塊だけではない。一人でも欠けてはならない。


その意味を知った太宰は目を見開く。

未来も。過去も。全てを知ってしまった彼女______優樹菜という存在に。





『私は全身全霊で、皆さんを守ります。_____有言実行、なんてね』









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ゆゆ(プロフ) - りんりんさん» ありがとうございます!頑張らせて頂きますね!! (2022年12月6日 20時) (レス) id: ee2abfb454 (このIDを非表示/違反報告)
りんりん - 続き楽しみにしてます!! (2022年12月3日 12時) (レス) @page21 id: 36ec43f1b9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆゆ | 作成日時:2022年11月20日 0時

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