第三章ー２ ページ16
☆
どこからともなく刀を取りだし、ナイフを受け止める。その様子に、周囲は驚きの声を上げた。太宰も珍しく目を丸くする。
「第二の異能力・・・・」
ナイフを受け止めていた優樹菜の後ろで、太宰は小さく呟いた。「第二の異能力？」と伊吹が怪訝そうにした隙をついてナイフを弾き、距離を取る。
刀をしまうと、今度は近接戦に持ち込む。ナイフを持つ伊吹の左手首を掴み、拘束をしようとするが、すぐに距離を取られた。
「流石、一夜家の一人娘だな。体術戦となりゃこっちが不利だ」
『・・・それはどうだっていいんだけど、ここで何してるの？』
呆れたように問う優樹菜に、伊吹は笑みを深める。
「お前を殺しに」
『だろうね』
「いや、そんなアッサリ受け入れるの！？」
即答した優樹菜に思わず敦が盛大にツッコんだ。あれ、これって僕が変なの？と思い周囲を見渡すが、敦が正しいと周りは頷く。
いろいろ言いたいことはあるが、状況が状況だった。優樹菜は困ったように片手で横髪を払いのける。まるで邪魔だとでも言うように。
『あのねえ、私を殺したいって思ってるのはひとまず置いといて・・・殺してどうするの。その意図が知りたいんだけど・・・』
「意図？そんなの、理由なんて一つだろ？」
『・・・？』
「俺の暗殺は少し違っていてな。あまり詳しいことは言えねえが、組織の奴らは
簡易的に告げられ、またもやため息が零れそうになる。
つまり、伊吹は優樹菜と同じくこの世界にやって来た際、自分達イレギュラーを排除する組織に買われ、今もこうしてイレギュラー狩りとして活動している・・・ということだろう。
なんで伊吹だけは殺されなかったのかは判らない。ただ、今の彼は恐らく「一夜優樹菜を排除しろ」という命を受けているのだろう。だからこそ、彼は優樹菜を殺さなくてはならない。あまり話せないと言いながらも簡潔に告げられた情報。まあ伊吹らしいと言えばそうなるが・・・。
『・・・・・つまり、私が殺されるか、水蓮君が任務失敗として殺されるか＿＿＿＿ってことね』
「話が早くて助かる。ってことで、手っ取り早く殺していい？」
この人はいつからこんなサイコパスのようになってしまったのだろう。
ナイフを持ってにこやかに言った彼を見て、思わずそう思ってしまった優樹菜だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 88人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆゆ(プロフ) - りんりんさん» ありがとうございます！頑張らせて頂きますね！！ (2022年12月6日 20時) (
レス) id: ee2abfb454 (このIDを非表示/違反報告)
りんりん - 続き楽しみにしてます!! (2022年12月3日 12時) (レス) @page21 id: 36ec43f1b9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆゆ
| 作成日時：2022年11月20日 0時
