番外編１ ページ38
☆
「ちょっと森さんどういうこと」
「・・・・君は何をそこまで怒っているんだい？太宰君」
事件が解決して数日後のことだった。太宰は今にも誰かを殺しそうな勢いの表情でポートマフィアの本部に乗り込んでいた。大抵、こういった場合は鴎外が先に何かをした時だ。しかし、今回は全く身に覚えがないのか、エリスと頭に「？」を浮かべている。
だが太宰の勢いは止まらずだった。
「何故ッ・・・・！！何故優樹菜ちゃんが中也の妹役なんかを・・・！！」
「あーー、成程」
その一言で全てを察した鴎外は、「だって樋口君と紅葉君がそう言ったから」と何ともなさそうに言う。
中也の妹役＿＿＿＿そんなの、あの一晩のことでしかない。中也、芥川、樋口、そして優樹菜の四人が船上に行った時のこと。謎を一瞬にして優樹菜が解いて解決してみせたあの任務だ。
どこからその情報が太宰へと渡って行ったのかは不明だが、その件で太宰が大いに不機嫌になっていることは理解できた。その妹役が紅葉や樋口ならばそこまで怒らなかっただろう。だが、相手は太宰との犬猿の仲である中也だ。
「いや、でも結構可愛らしい仕上がりだったよ？ねえ、エリスちゃん？」
「そうね。優樹菜姉さまは元がいいもの。何しても似合うに決まってるわ！」
「可愛いことは認めますけど」
「認めるんだ」
「なんでよりにもよって中也なんかを・・・・！！」
「もしかして太宰君、それだけのために敵組織の本部まで来たの？ひょっとして馬鹿？」
思わずそう言ってしまうくらい、本日の太宰は変であった。いや、変なのはいつものことだが。
＿＿＿＿＿まあ、仕方がないか。
鴎外はそう思い、一つため息をつく。どうやら優樹菜という存在はあの太宰でさえも影響される人間なのだということらしい。何事にも器用だし、ポートマフィアで過ごしていた時も評判が良かった。なんなら、あの芥川に心酔している樋口でさえも優樹菜のことを度々可愛がっていた次第である。
優樹菜という存在はいわば未知である。そして、事情を知っているのは中也のみ。
＿＿＿＿＿＿だったとしても。
「どうせなら中也じゃなくて私だったらよかったのに・・・・！！」
・・・・・流石にこれは行き過ぎである。
鴎外でさえもそう思ってしまうくらい、この時の太宰は変だった。
【完】
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 72人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆゆ(プロフ) - 月夜さん» ありがとうございます！もちろん受け付けております！ (2022年11月13日 22時) (
レス) id: 35eb047a16 (このIDを非表示/違反報告)
月夜 - 最高ですね！番外編ってリクエスト大丈夫だったりします？ (2022年11月12日 22時) (レス) @page42 id: 27bef482ad (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - はなさん» 期末テストが終わり、修学旅行も終わった後からの更新スタート！今は着々とストーリー書いてるよん(*^-^*)♡あと私は神ではない。真の神はあなたである（意味不明） (2022年11月12日 22時) (レス) id: ee2abfb454 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 新シリーズ…!神か？神だったな…(自己解決) (2022年11月12日 19時) (レス) id: eb8cebab9c (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - 椿姫さん» わー！ありがとうございます！１２月からは新シリーズ突入なので、そちらも見てくださると嬉しいです！ (2022年11月10日 21時) (レス) id: ee2abfb454 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆゆ
| 作成日時：2022年10月23日 11時
