第三章ー5 ページ18
☆
「全員動くな!逃げようとしたり騒ごうとすれば・・・・・即、殺す」
「この子共だけじゃねえ。お前らが何かをしたとき、この子共死んだあとは____次は手前らの番だ」
船丸ごとを使った人身売買。その予感が的中した。
樋口は人質が優樹菜ということに焦燥に駆られる。探偵社もポートマフィアでも価値のある人間をこんな奴らに殺されるなんて御免だ。
ナイフを首元に当てられ、優樹菜は身動きをとれずにいる。動けば彼女が殺される。だからこそ動けない。それは今この状況をどこかで見ている中也や芥川も等しいだろう。相手が一人ならばまだしも、複数人。樋口一人で太刀打ちできるはずがない。
それに中也や芥川がここで異能力を使えば大惨事になることは間違いない。ここは海の上。船に異常が出れば沈むことも考えられる。
「お前ら全員、今から外国へと運ぶ。それまで大人しく_____」
その刹那_____優樹菜にナイフを当てていた男が「熱ッ・・・!?」と優樹菜から手を離した。
「なんだ・・・?急に熱く・・・・・」
『・・・・ご生憎様』
優樹菜の頬に汗が流れる。それと同時、ぶわりと優樹菜をまとうように炎が展開された。樋口は目を見開く。
「炎・・・?いやしかし、まだ風と氷しか操れないはずでは・・・!」
『最近、ようやく掴めて来たんです。私の異能力は_____想像が全て』
優樹菜に向かって銃が向けられる。そしてそれはすぐに発砲された。しかし銃弾である鉛が、炎の高熱で優樹菜に届く前に溶け消える。
それくらいの高熱なのに、銃弾以外は全くもって被害を及んでいない。床も燃えることなく綺麗なままだった。それができたのは、全て「想像」できたからこそ。
しまいに相手の銃弾が切れた。相手の手から、ナイフが滑り落ちる。そうすると糸が切れるかのように優樹菜の炎も消えた。すぐさま、人の間をぬって芥川の異能力である羅生門が彼らを拘束した。
「まさか・・・炎も操れるようになっていたとは」
「俺らが表立って動けねえ中、よくやったじゃねえか」
そして姿を現した二人。「小娘に頼るなどかたじけない」と呟く芥川に苦笑しながら優樹菜は安心したように肩の力を抜く。
『よかったです。異能力がうまくいかなかったら・・・・それこそ、最悪な状況になっていましたから』
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ゆゆ(プロフ) - 月夜さん» ありがとうございます!もちろん受け付けております! (2022年11月13日 22時) (レス) id: 35eb047a16 (このIDを非表示/違反報告)
月夜 - 最高ですね!番外編ってリクエスト大丈夫だったりします? (2022年11月12日 22時) (レス) @page42 id: 27bef482ad (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - はなさん» 期末テストが終わり、修学旅行も終わった後からの更新スタート!今は着々とストーリー書いてるよん(*^-^*)♡あと私は神ではない。真の神はあなたである(意味不明) (2022年11月12日 22時) (レス) id: ee2abfb454 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 新シリーズ…!神か?神だったな…(自己解決) (2022年11月12日 19時) (レス) id: eb8cebab9c (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - 椿姫さん» わー!ありがとうございます!12月からは新シリーズ突入なので、そちらも見てくださると嬉しいです! (2022年11月10日 21時) (レス) id: ee2abfb454 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆゆ | 作成日時:2022年10月23日 11時