蝶の如く舞い上がれ

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異能力で瓦礫をどうにかしようと中也が動こうとした時、隣に立っていた優樹菜が先に異能力を使った。

視界に蝶が映り込む。綺麗な蝶だった。闇を葬り去るような・・・・そんな蝶。



多くの蝶が放たれる。蝶が瓦礫に当たる。それを見た優樹菜はパチンと指を鳴らした。



『＿＿＿＿＿＿重力操作』



突然、降り下りていた瓦礫が制止する。＿＿＿＿空中で、だ。まるで重力を無視したかのように浮かび上がっている。

重力を操作できる能力を持つ中也は目を丸くした。なんせ、自分は異能力を使っていないからだ。全部優樹菜が行ったこと。こんなやり方もあったのか、と瓦礫を見据えたままの優樹菜を見やる。


優樹菜は指を鳴らす。

軽い音と共に、浮かび上がっていた瓦礫が弾けるように粉砕した。



それを見ていた元両親は、悔しそうにする。



「だけど、これだけじゃねえぞ。まだ他の場所にも、爆弾が＿＿＿＿＿＿」

『私がそれに気づかないとでも？とっくに対策済みだよ』



ポケットに入れていた携帯を前に突き出す。その画面には「太宰治」と書かれていた。しかし、画面の向こう側から聞こえるのは別の人物の声。以前、優樹菜を一目見ただけで正体を見破った江戸川乱歩だ。

太宰が優樹菜の家に来た時。何で判ったのか問うたところ、乱歩に訊いたかららしい。詳しく聞いてみると、彼は名探偵。一瞬で推理をしてしまうとか。



『彼ならきっと対策してくれる。だから私は元々通話状態にしていたの』

「そーそー！全部の爆弾、既に解除済みだからね！」



「うそ、だろ・・・・」




太宰から無理矢理連絡先を交換させられた時はどうしようかと思ったが、残しておいて正解だった。もしこの状況が起こった際＿＿＿＿彼らなら、探偵社なら力になってくれると思ったから。

乱歩いわく、既に軍警がこちらに向かって来ているらしい。それを中也に伝えると、彼は少し不服そうにしながらもその場を去ろうとした。が。それを優樹菜が呼び止める。



『ねえ、私のことは捕まえなくっていいの？』

「あ？・・・・お前を連れ去ることは出来るが、余計なのが付いてきそうだからな。今回は見逃してやる」

『余計なの？ああ、太宰さんのことか。相変わらず仲が悪いことで』

「うるせ」



じゃあな、と身を翻す中也に、優樹菜は笑みを浮かべる。

そして軍警が到着し、一連の犯人である元両親は連れていかれたのであった。




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