28 ページ28
❀
「何・・・ッ?」
全身がしびれて動かない。なんとか目線だけを動かせば、自身の体に蝶が数羽ついていた。
優樹菜は、地面に落ちたナイフと銃を拾い上げる。そして、何を思ったのか、銃を数発空に向かって撃った。銃声だけが轟く。
絶句する両親。優樹菜は顔色を変えない。
『なんで、私が協力するって思ったの?私は蝶を操れる。しかも、いろんな効果のある蝶をね。____その蝶のせいで、アンタらは今動けていない』
「チッ・・・してやられた・・・・!」
『悪いけど、私は誰かを助けるために生きると決めている。確かに私はまだまだ醜いよ。だけどね・・・例え中身が同じであったとしても、死にざまくらいは選べるでしょ』
誰かを傷つける、そんな人物として死ぬか。
誰かを助けるために生きて、そのために死ぬか。
例え醜い蝶でも、それくらいの選択はできる。
「くそっ」
男は、隠し持っていたもう一丁の銃を取り出して銃口を優樹菜に向けた。だけど、優樹菜はただ平然としている。凛々しく、そして強い何かを閉じ込めたような目____それを見た彼らは、背中に何かが這うような感覚を覚えた。
自分の娘が、知らぬ間に消えていて早数年。その間に、何があったというのか。
こんなに強い子供ではなかった。いつも何かに怯え、自分達に素直に従う子供だった。道具にしか思っていなかった、人形のような娘だった。
なのに。_____なのに!
『ねえ、知ってる?さっきの銃声の意味』
男が、トリガーを引く直前。今度は、優樹菜が笑みを浮かべて言った。
『_______ここ、ポートマフィアの陣地でもあるんだよ?』
_________パァン!!
銃声が一発、その場に響き渡った。
223人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆゆ(プロフ) - こはさん» 猟犬、いいですよね!私も推してます!アンケートありがとうございます! (2023年3月23日 20時) (レス) id: ee2abfb454 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - 日傘さん» そう言ってもらえて嬉しいです!私は今年から受験生なので、今のうちに…って感じです!(笑)アンケートありがとうございます! (2023年3月23日 20時) (レス) id: ee2abfb454 (このIDを非表示/違反報告)
こは - こんにちは。ゆゆさんの作品とても面白いです。私は「梅雨に咲く花」がいいです。個人的に猟犬が好きだからです。お願いします。 (2023年3月23日 12時) (レス) @page34 id: b559896119 (このIDを非表示/違反報告)
日傘(プロフ) - とても面白かったです!その上更新スピードが…とても速い…!!とてもとてもすごいです…(?)続編ならこの作品が良いです!どの作品でも楽しみに待ってます! (2023年3月23日 2時) (レス) @page34 id: 9477fd6c3a (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - 審神者は霊力豊富さん» 記念作品第一弾!猟犬が大好きな私好みのものでした(笑)アンケートありがとうございます!! (2023年3月22日 19時) (レス) id: ee2abfb454 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆゆ | 作成日時:2023年3月11日 22時