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優樹菜の異能力は、応用が効く強力な異能力だ。
記憶を消すことも、怪我を癒すこともできる、そんな異能力。
_____だけど、完璧ではなかった。だからこそ、その日がいずれ来てしまうと思っていた。
「何年ぶりかな。久しぶりだね_____優樹菜?」
ナイフが首元にあてられる。後頭部には、銃が突きつけられていた。優樹菜をこのような状況にしているのは____かつて、優樹菜自身が記憶を消した両親だった。
その両親が、今や裏社会で話題となっている事件の犯人。優樹菜はそれを知っていた。
『・・・・相変わらず、黒に染まるのが好きだねえ。アンタらは』
「何を言っている。俺達は元からこちら側だ」
「さあ優樹菜。言いたいことは、判るわよね?だって、私達の娘ですもの」
『何をする気?』
母親のナイフを持つ手に力が入った。
優樹菜は恐怖心を抱くこともなく、ただ淡々とした口調で述べる。
彼女からの問いに、父親は歪に笑みを浮かべた。
「簡単な話だ。お前の異能力を使って、このヨコハマを崩壊させる」
『アンタらも知っての通り、私の異能力は一定の期間が開けば勝手に解除される。現に、アンタらも私の記憶を呼び戻して今こうしているんだからね』
「あら、期限が来ればまた同じことをすればいいだけよ?」
話を聞くと、彼らはどうやら、ポートマフィアとは違った別の黒社会の組織に溶け込んでいるらしかった。そして、命じられたのはヨコハマの崩壊。
ポートマフィア、探偵社諸共壊滅させ、この街を混沌に追いやるつもりだ。
それを聞いた優樹菜は思わず舌打ちをする。
『確かに、私には記憶抹消や治癒以外にもできることはある。けど、それに私が参加する意味はないでしょ』
「手っ取り早いし、何よりも確実だからよ。それに・・・断った瞬間、あなたは死ぬのよ?この作戦を実行するなら、命は保証してあげる」
「逆にお前ができなかった場合、お前だけでなく、お前の友人も全員殺す。この意味、判るよな?」
『・・・・・判った。私がやらなかったら殺してくれて構わない。だから一回離れて。・・・使おうにも、この状況じゃ異能力を使えない』
その言葉に、両親二人は笑みを浮かべてナイフと銃を下ろした。
______刹那。その二人は地面にへと崩れ落ちた。
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ゆゆ(プロフ) - こはさん» 猟犬、いいですよね!私も推してます!アンケートありがとうございます! (2023年3月23日 20時) (レス) id: ee2abfb454 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - 日傘さん» そう言ってもらえて嬉しいです!私は今年から受験生なので、今のうちに…って感じです!(笑)アンケートありがとうございます! (2023年3月23日 20時) (レス) id: ee2abfb454 (このIDを非表示/違反報告)
こは - こんにちは。ゆゆさんの作品とても面白いです。私は「梅雨に咲く花」がいいです。個人的に猟犬が好きだからです。お願いします。 (2023年3月23日 12時) (レス) @page34 id: b559896119 (このIDを非表示/違反報告)
日傘(プロフ) - とても面白かったです!その上更新スピードが…とても速い…!!とてもとてもすごいです…(?)続編ならこの作品が良いです!どの作品でも楽しみに待ってます! (2023年3月23日 2時) (レス) @page34 id: 9477fd6c3a (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - 審神者は霊力豊富さん» 記念作品第一弾!猟犬が大好きな私好みのものでした(笑)アンケートありがとうございます!! (2023年3月22日 19時) (レス) id: ee2abfb454 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆゆ | 作成日時:2023年3月11日 22時