*及川徹の愛情表現*

愛情表現 06 ページ7

*




「……は？」




意を決して告げた私の言葉に、岩泉くんは唖然。




「及川と、別れる？」


「…うん」




改めて聞き返した彼だったが、深く頷いた私を見てようやく状況が理解できたようだった。




それから少し沈黙が流れた後、

岩泉くんが眉間にしわを寄せて「及川に何かされたのか？」と訝しげな表情で問いかけてきた。




ーー及川くんに、何かされたか…？


その問いに、私は少し考え込んでしまう。




…及川くんに「嫌い」と面と向かって言われたわけじゃないし、浮気をされたわけでもない。


けど……。





「…及川くんは、私のこと好きじゃないから…」





そう思いたくはないけれど、きっとそうだ。


及川くんだって、いつまでも好きでもない彼女につきまとわれたら迷惑だろう。




ーーだから、別れるのが最善策、だよね…。



なんて考えていた私だったが、





「は？

いや、何をどうしたら及川がお前を嫌ってることになる？」




彼は、心底わからないといった表情でそう尋ねてきた。




「いやいや、逆にどうやったら及川くんが私のことを好きだってことになるの？」


「えっ」

「えっ」





なんでか、及川くんについての話が岩泉くんと
全く噛み合わない。




…ああ、そうか。

岩泉くんは私と及川くんのクラスじゃないから、
彼の他の女子と私への扱いの差を知らないんだ。





勝手にそう解釈した私は、とりあえず及川くんの
私に対する日々の扱いを説明することにした。

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