愛情表現 11 ページ12
*
「あのさ、」
帰路を辿っているなか、彼が唐突に切り出した。
続く言葉を待つ。
「なんで避けるの」
「……えぇ?」
「君、あきらかに僕から逃げてるでしょ」
「い……や、そんな、ことは」
「わかりやす」
あまりにも私が挙動不審だったのか、
ふっと月島くんが小さく笑った。
「……で、でも、月島くんだって私に全然話しかけてくれなかったし」
そう言うと、彼が「はぁ?」と首をかしげた。
「君が避けるからでしょ?」
「わ、私だって、月島くんが話してくれないから近づけなかったんだよ。 なんで一切声かけてくれなかったの!」
前のめりで反論する私に、彼は少し気圧されたようだった。
とりあえず一旦落ち着いて、改めて口を開く。
「……他の女子への対応とか違うしさぁ」
「……誰と?」
「私と。私にはぜーんぜん笑顔とか向けてくれないのに、他の子にはするでしょ?」
もういっそのこと、思っていたことを全て吐き出してしまおうと決意した。
こんな機会またとないだろう。
「……愛想笑いぐらい見抜けた方がいいよ」
え?と思わず聞き返す。
しかし、彼からの返事はこなかった。
「じゃあ、次は僕の番」
「……うん?」
「君に嫌われたのかと思って、話しかけなかっただけ。おしまい」
「ま、待って待って。もう一回」
「嫌だ。聞こえたでしょ」
「き、聞こえたけど早口で聞こえなかった!」
「わけわかんないし、絶対嫌だ」
いや今のはもう一度聞いておきたい。
だってデレる月島くんなんて、もはや絶滅危惧種なのだから。
諦めきれない私が押し問答を繰り広げていたら、そうこうしているうちに家に着いた。
私を家に送り届けた途端、月島くんは逃げるように去っていってしまった。
「じゃあね」とだけ言い残して。
足早に歩いていってしまうその背中を見て、
私の頬は自然と緩んでしまう。
こんなにも月島くんと本音をぶつけあったのは、初めてじゃないだろうか。
嫌われたと思って話しかけられなかった、なんてポジティブに解釈すれば、これ以上嫌われるのを防ぎたかった、みたいな……。
無意識に速くなっていく鼓動を感じながら、
私は自宅の扉を開いた。
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こゆきー - お、頑張って下さい! (2016年2月4日 18時) (レス) id: 812680425a (このIDを非表示/違反報告)
ぐみちょこ - 赤葦のお話が見たいです!! (2016年1月24日 11時) (レス) id: 9dff969fcf (このIDを非表示/違反報告)
彩★ゆっきー(プロフ) - ななうらさん» マジ……ですか!?死んでも待ってます!第五弾、頑張ってください! (2015年12月18日 12時) (レス) id: 72bbf58daf (このIDを非表示/違反報告)
ななうら(プロフ) - 彩★ゆっきーさん» いえいえ、リクエストありがとうございます!実は第五弾を赤葦にしようか迷っていたので、踏ん切りがつきました(笑)できるだけ早く公開できるようにしますので、第五弾もよろしくお願い致しますm(__)m (2015年12月17日 19時) (レス) id: fa90d567e6 (このIDを非表示/違反報告)
彩★ゆっきー(プロフ) - 第五弾赤葦がいいです!ってこれ勝手なリクエストですよね……すみません。でも、いつかやってほしいです!五弾も楽しみに待ってます! (2015年12月17日 19時) (レス) id: 72bbf58daf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななうら | 作成日時:2015年12月5日 13時