オレ達の物語りにタイトルなんていらない！ (ページ1)

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(１)－ep1－(平穏なる魔界～出逢い～) ページ1

───…そこは蒼黒の魔界…───

蒼黒の魔城と呼ばれる城に
魔王グウェンタールとその妃エレナ、

そして十二歳になる王子サピュルスと
九歳の姫、グラナートが暮らしていた。

ある日、蒼黒の魔界近くで、
白の吸血鬼族と黒の吸血鬼族との
大きな戦争が勃発したとの報せが入った。

魔界に直接影響は無いものの、
母エレナは子供達になるべく外へ出ないように言い聞かせた・・・

兄サピュルスは元々あまり城の外へ出ず、
勉強熱心で
読書や魔法修行に没頭していた。

一方妹グラナートは好奇心旺盛で
城の外に出たくてたまりませんでした…。

戦争が始まって一ヶ月ほどたち・・・

グラナートは窓の外を眺め溜め息を一つ…

そんなグラナートの視界に何かが空から落ちてくるのが見えた。

ｸﾞﾗﾅｰﾄ『何だろう？湖の方向……』

好奇心旺盛なグラナートはたまらず
そのまま窓から城を脱け出し、

それが何なのか確めに行った。

───・・・

ｸﾞﾗﾅｰﾄ(母さまごめんなさいっ！！)

と心で呟きながら湖にたどり着く。

恐る恐る湖を見渡してみる…

すると湖のほとりに人影が見えた。

グラナートは驚き身をすくめたが、

その人陰はバタリと倒れ込んだ

どうやら怪我をしている様だった。

グラナートは湖のふちをたどり
ゆっくりと歩み寄った…

グラナートの気配に気付いたのか咄嗟に身構えたが、子供のグラナートを見てほっとした顔をする。

？？？『っ、何の用だ？！』

男は傷を抑えながら荒い口調でそう言った。

ｸﾞﾗﾅｰﾄ『あなた吸血鬼？』

男『だったらどうする？』

ｸﾞﾗﾅｰﾄ『血をあげるわ。』

(魔族にしたら蚊に血を吸われるくらいの事)

男『お前、俺が怖く無いのか？』

ｸﾞﾗﾅｰﾄ『どうして？』

男は呆れ返りほんの少し笑顔になった。

男『…血を…』

ｸﾞﾗﾅｰﾄ『どーぞ。』

─・・・・・──

湖に半分漬かったまま申し訳なさそうに
吸血。

…『すまない』

男『俺の名はヴラド黒の吸血鬼だ』

ｸﾞﾗﾅｰﾄ『アタシはグラナ。グラナート』

それがグラナートとヴラドの初めの出会いだった