episode : 5 ページ6
「 服これしかないよ 」
そう言って渡したのはピンク色のパーカー.
過去にグッズとして発売されたものだ.
「 何でお前これ持ってんの … ? 」
「 友達がリスナーでさ , 一緒に買ったの 」
「 俺の色じゃん 」
「 何か文句ありますか ?! 」
「 別に 〜 ?? 」
段々と恥ずかしさと苛立ちで私の気分も上がっていた.
確かに私は配信自体はななもりさんを聞くことが多いのに何でお兄ちゃんの色を買ったのだろう.
図星を付かれて頬が熱くなるのが分かった.
その時のお兄ちゃんの顔は先程よりとは打って変わって少し笑顔になっていた.
時間は早朝の5時.
どうせここに来る時も何も飲まず食わずだっただろうし,朝ご飯でも作ってあげよう.
我が家は皆料理が下手な方では無いため味は保証できる.
「 朝ご飯 , 食べよっか 」
「 ん 〜 , 要らねぇわ 」
「 はぁ ?? 食べないと駄目だよ 」
「 最近腹減らねぇんだよ 」
でも,とゴネたが流石お兄ちゃん.
まんまと説得され結局私だけ朝ご飯を食べることになった.
でもやっぱり食べないのはダメだ,と思いインスタントスープで妥協してもらった.
食にこだわりが強いお兄ちゃんだから,好みで食べないことはあるけれど食欲不振は少し不思議に感じた.
お風呂上がりの顔を見る感じ,少し隈も見えたから恐らく無理しているのだろう.
と,朝ご飯を食べているとお兄ちゃんが頭痛薬は無いのかと問いてきた.
「 ねぇ , お兄ちゃん最近夜眠れてる ? 」
「 まぁ4時間くらいは 」
「 …… 無理し過ぎだよ 」
「 してねぇからAは心配すんな 」
「 荷物 , 私が全部取ってくるからお兄ちゃん今日は寝てて 」
はぁ?と言うお兄ちゃんを無視して私の自室まで背中を押し,移動させる.
生憎客用の布団はない,私は優しい妹だ,ベッドを譲ってあげよう.
整えてあるシーツの上にお兄ちゃんを投げるようにして押し倒す.
何が何だかでポカンとした顔をしているお兄ちゃんの額にデコピンを食らわす.
「 着替えたら私お兄ちゃんの家行くから 」
「 は ?? 」
「 最低限の物しか持って帰らないよ ? 」
「 ん ?? 」
「 私が帰ってくるまでお兄ちゃん部屋から出たら駄目だから 」
じゃあね!!と荒々しく部屋の扉を閉めピンク色のワンピースにカーディガンを羽織った.
まだ朝の6時,急いで行けばメンバーにも出会わないだろう.
お兄ちゃんの為にもバレないようにしないと.
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ましゅ☆まろ。紫月まろ。(プロフ) - 泣きました。そして、今更ながらですが、完結おめでとうございます! (7月25日 12時) (レス) @page49 id: df7b4f216a (このIDを非表示/違反報告)
たろち - 完結おめでとうございます!!とても生々しく人間らしい、そしてすとぷりらしい大好きな作品です。ありがとうございました。 (2022年2月17日 5時) (レス) @page49 id: e2d4e1bc60 (このIDを非表示/違反報告)
namo(プロフ) - いちごオレ。さん» ありがとうございます(;;)♡ (2022年2月13日 13時) (レス) id: eec0e0c5bb (このIDを非表示/違反報告)
namo(プロフ) - らいかさん» ありがとうございます;; (2022年2月13日 13時) (レス) id: eec0e0c5bb (このIDを非表示/違反報告)
namo(プロフ) - 緋桜ひよ子@ミスキャト黄色担当さん» 見付けて下さってありがとうございます(;_;)こちらこそありがとうございました! (2022年2月13日 13時) (レス) id: eec0e0c5bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:namo | 作成日時:2020年11月26日 3時