6 / 5 【すとぷり】

episode : 34 ページ38

ようやく鼻を啜る音が部屋に響かなくなったころ,再びななもりさんが沈黙を破るように口を開いた.


お兄ちゃんの手を固く握って,暗示を掛けるように.






「 さとみくんは , 俺達にとって必要不可欠なんだよ

だから , もう2度と居なくなろうとしないで 」





「 … わかった 」





「 約束だからね 」






ほら,とななもりさんは小指を差し出して,お兄ちゃんと指切りをする.


その時裾から見えた痛々しい傷も,ななもりさんは何も気にする様子をみせず,放送通りの接し方をしていた.

なんて切り替えが上手くて,人思いな人間なのだろうか.






「 んじゃ , 早速明日は放送やな 」





「 ん ? 明日は日曜日じゃねぇけど 」





「 分かってるで ? 」





「 は ? 」





「 はっきり言わんとダメやろ

今回の件には関与してないリスナーさんしか多分聞いてへんやろうけど , さとちゃんを傷付けたリスナーが聞いとるかも知れんしなぁ 」







どうやら,すとぷりのメンバーは皆明日方法で全てを話す予定だったらしい.


お兄ちゃんが今どんな状態か,どんな状態だったか.

どれだけ苦しんでいたか.


その許可を得る為にも,今日我が家に訪れたらしい.


私的には勿論すとぷりのメンバーから直接,リスナーさんに伝えて欲しい気持ちでいっぱいだった.

でもそれは私の一意見であって,お兄ちゃんの意見ではない.






「 … いや , 言わなくていいよ 」





「 どうして ? 」





「 … いつか , 笑い話に出来るくらい俺達がデカくなったら ,

実はこんなこともあったんだ , っていう風に伝えたい 」





「 何かさとみくんらしいね ! 」





「 だろ ?

やっぱ行動で示した方がアンチにも効果ありそうだしな 」






あの時はありがとな , って笑いながら言ってやる


そう言うお兄ちゃんは,ようやく

私が大好きなすとぷりとして活動をしているお兄ちゃん

に戻った気がした .









―――



1/22


今日は , 止まっていた2年間が動き出す日ですね .


一昨年の3月のナゴヤドームから始まった , ライブの延期 , 中止 .


止まっていた時を動かせるのは , 今日参戦する皆さんです .

是非 , 2年越しに , あの会場で最高の景色を作って来て下さい … !




またそんな素敵な日に ,

「6/5」

有難い事に10万hit達成しておりました … !


本当に有難う御座います .

そろそろこちらも終わりが近いのですが , 最後までお付き合い頂けますと幸いです … !

episode : 35→←episode : 33

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す