episode : 29 ページ33
「 まだお兄ちゃんは寝てるので , 良ければどうぞ 」
そう言って自宅にすとぷりさん達を招き入れた正午過ぎ.
一体どれくらいお兄ちゃんは普段寝れていなかったのか,よく分かった.
5人分の紅茶を出したが,紅茶を口に出来たのはななもりさんだけ.
皆落ち着かない様子でそわそわとしていた.
「 僕ら , さとみくんに会う資格あるの … ? 」
そんな時口を開いたのはころんさん.
多数がころんさんの方を向くが,何も言えず口ごもっていた.
でもそんな皆を安心させるようにななもりさんは声掛けをする,やっぱりリーダーだ.
「 これから , 守っていけばいいでしょ ?
それに , ころんは特にさとみくんにずっと会いたがってたじゃん ! 」
「 なっ , 言わないでよ ! 」
「 … うん , そのいつもの調子でいこうね ? 」
不安を打ち消すかのように温かい笑みを浮かべて,まるで何ともないようにななもりさんは振舞っているけど.
1番大きいものをたった1人の背中で抱えて,1番耐えているのはきっとこの人なんだろうな.
なんて,温かいグループなんだろう.
なんて,自分が無理してでもリスナーを優先する最高のグループなんだろう.
感極まって目頭が熱くなってきたその時,自室の扉が開く音がした.
廊下から聞こえる足音に全員が体を強ばらせる.
「 なんっか久しぶりに良く寝れたわ 」
欠伸をしながらリビングへの扉を開けたお兄ちゃん.
気持ち良さそうな顔でリビングに入って来たお兄ちゃんだったが,その表情は一瞬で変わった.
「 は , え , なんで 」
「 … さとみくん 」
「 A , お前っ ! 」
すとぷりさん達のことを認識した瞬間,お兄ちゃんの顔は白さを増していく.
私に怒鳴り付けた後,恐怖からかその場から逃げ出そうとしたお兄ちゃんだったがそれは叶わなかった.
「 薬の副作用まで耐えさせてしまって , 本当にごめん 」
「 薬 … ? 」
「 精神科に行った時に貰った薬 , 砕いて昨日お兄ちゃんにこっそり飲ませたの 」
抗うつ剤は副作用も強く,ふらつきや頭痛等は勿論吐き気まで催すほど.
それに加えて寝起きのお兄ちゃんは余計に体がふわふわした状態で上手く歩けず倒れてしまった.
そんなお兄ちゃんに近付いたのはななもりさん.
「 少しだけでいいから , 話をさせて欲しい 」
頭を深々と下げるななもりさんに,お兄ちゃんは了承をするしか無かった.
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ましゅ☆まろ。紫月まろ。(プロフ) - 泣きました。そして、今更ながらですが、完結おめでとうございます! (7月25日 12時) (レス) @page49 id: df7b4f216a (このIDを非表示/違反報告)
たろち - 完結おめでとうございます!!とても生々しく人間らしい、そしてすとぷりらしい大好きな作品です。ありがとうございました。 (2022年2月17日 5時) (レス) @page49 id: e2d4e1bc60 (このIDを非表示/違反報告)
namo(プロフ) - いちごオレ。さん» ありがとうございます(;;)♡ (2022年2月13日 13時) (レス) id: eec0e0c5bb (このIDを非表示/違反報告)
namo(プロフ) - らいかさん» ありがとうございます;; (2022年2月13日 13時) (レス) id: eec0e0c5bb (このIDを非表示/違反報告)
namo(プロフ) - 緋桜ひよ子@ミスキャト黄色担当さん» 見付けて下さってありがとうございます(;_;)こちらこそありがとうございました! (2022年2月13日 13時) (レス) id: eec0e0c5bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:namo | 作成日時:2020年11月26日 3時