episode : 22 ページ25
「 妹さん , 少しお話いいですか 」
お兄ちゃんが倒れているのを発見した後,取得していた車の免許がこの都会で初めて役に立った.
急いで手首からの出血を止血し,自分より遥かに体格差のあるお兄ちゃんをおんぶして車の後部座席に寝かせた.
意識は朦朧としていて,顔面蒼白,話せる状態なんかじゃなかった.
1番近い病院が今日,ななもりさんが運ばれた病院で仕方なかったがそこへ向かった.
着いた時には止血していたのに座席に血液が染みていて,ポタと床に滲ませながら緊急搬送の所へ向かった.
直ぐにお兄ちゃんは医者の所へ運ばれて私は待機室で不安に襲われながら待っていた.
そんな時,あまり良くない表情を浮かべた医者が直接私の元へ訪れた.
「 右手首の損傷 , 出血からの貧血
かなり深く切れていて数針縫わせて頂きました 」
病室へ案内され,そう医者に告げられる.
「 お聞きしたくない言葉かも知れませんが ,
あの傷は自傷行為によるものです
何か心当たりはありますか ? 」
「 … あります 」
「 そうですか … , こちら紹介状になります
1度 , お兄さんと精神科を受診して下さい 」
やっぱり,そうなんだ.
ずっとそうだと思ってた.
食欲不振に睡眠不足,必要のない時の薬の摂取,
過呼吸に,自傷行為.
典型的な症状じゃないか,何で私は確信しなかったんだ.
「 お兄さんは , 」
うつ病の可能性がかなり高いです .
聞きたくなかった.
あのお兄ちゃんが,そんな訳ないもん.
紹介状を受け取って,それ以上の話を聞くこと無く私はお兄ちゃんの居る病室へ向かった.
病室の扉を開けると,点滴に繋がれて酸素マスクを着けるお兄ちゃんが居た.
どうやら全身麻酔をして縫ったらしく,まだ起きないらしい.
お兄ちゃんのベッドの横に椅子に座って,包帯の巻かれた右手首に優しく触れる.
「 お兄ちゃんが , 苦しむ姿 ,
私もうっ , 耐えられないよぉ … ! 」
何に悩まされてたの?
何に傷付けられてたの?
一体 , 誰に そこまで追い詰められてたの ?
私をいっぱい撫でてくれたこの手も.
私と同じ血が流れているこの体も.
全部がお兄ちゃんで,大切な大切な家族.
もう,私も限界だった.
病室の外へ出て,電話を掛ける.
「 もしもし , どうかした ? 」
お兄ちゃんが大好きで,お兄ちゃんのことが大好きな人の声が耳に届く.
「 助けてください , ななもりさんっ … !! 」
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ましゅ☆まろ。紫月まろ。(プロフ) - 泣きました。そして、今更ながらですが、完結おめでとうございます! (7月25日 12時) (レス) @page49 id: df7b4f216a (このIDを非表示/違反報告)
たろち - 完結おめでとうございます!!とても生々しく人間らしい、そしてすとぷりらしい大好きな作品です。ありがとうございました。 (2022年2月17日 5時) (レス) @page49 id: e2d4e1bc60 (このIDを非表示/違反報告)
namo(プロフ) - いちごオレ。さん» ありがとうございます(;;)♡ (2022年2月13日 13時) (レス) id: eec0e0c5bb (このIDを非表示/違反報告)
namo(プロフ) - らいかさん» ありがとうございます;; (2022年2月13日 13時) (レス) id: eec0e0c5bb (このIDを非表示/違反報告)
namo(プロフ) - 緋桜ひよ子@ミスキャト黄色担当さん» 見付けて下さってありがとうございます(;_;)こちらこそありがとうございました! (2022年2月13日 13時) (レス) id: eec0e0c5bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:namo | 作成日時:2020年11月26日 3時