. ページ18
.
あれからというものの、俺の体は前よりも一本早い電車に余裕で間に合う時間に目が覚めるようになった。
そしてAと一緒の電車 同じ車両で登校することが 日常になってから 早二週間。
好きな食べ物は 焼肉とフルーツタルト。
Aに似てフワフワした、ダンスをしてる弟が1人いて、猫を飼っている。
苦手なのはパプリカ。
実はダンス以外 運動系のものは苦手。
最近ゆず茶にハマっている。
Aとの会話の中で、どんどんAに詳しくなっていく。
それと同時に、どんどんAに溺れていく。
その幸せの中なら いくら溺れても苦ではない。
プシューッ
「おはよ」
「あ、セフン！おは、わっ」
また今日も雪崩れるように電車に乗り込んでくる人混みの中から いつも通りAの腕を掴んで俺の前に誘導。
「ふぅ。ありがと…！
…この前ね、セフンが踊ってる動画 見せてもらったよ」
「え、あいつから？」
「うん」
少し伏せ目がちに頷くAは、小さな声で「かっこよかったよ」 と加えた。
ん〜〜！！！レッドカード…反則…
「そう言ってもらえると 嬉しい」
無難で可愛げのない返事しかできない俺に、少し射す嫌気。
…あれ？
なんだ
俺だってあいつと一緒じゃん。
Aは かわいいね なんて、言いたいけど言えば 軽い男だと見られそうで怖くて言えない言葉。
怖くて 一歩が踏み出せない。
「この前、弟がね…」
20cm以上身長差があるけど、それを埋めようと頑張って首を上げて 俺の目を見ながら喋ってくれるA。
…毎朝のこの時間だけ、一緒にいられたらいいや だなんて。
この幸せな時間を守れたらいい、とか…
思っていないといえば、嘘になる。
ぬるま湯に浸ってんなよ、俺。
「A」
「ん？」
すっかり冬になり、大きめのマフラーに口元をすっぽり埋めながら俺を見るA。
「俺さ」
「うん？」
「………やっぱなんでもない」
えー、なにそれ！と笑い飛ばすAに救われ、俺はふぅ と溜息をついた。
また言いたくなったら言ってね？と言ってくれるAが 天使に見えてくる。
俺、ダッセー……
「…明日から、冬休みなんだ」
黙る俺との沈黙を破るように出された Aの言葉に ハッとする。
あ、そっか。
じゃあ 明日からしばらく Aには会えないってことか。
「…じゃ、次に会うときは年明けだな」
「……そうだね」
冬休み中、よかったら 2人でどこか行こうよ
その言葉は 喉の奥に消えていった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 487人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りる - 初めまして〜♪ｼｬｯﾌﾙﾒﾙﾄのお話、毎回楽しませていただいています…皆様個人の素敵なお話をいつも読ませていただいてるので、企画ものはまた違って、新鮮で楽しいです♪続けて頂けたら嬉しいです…が無理なさらないで下さい！体調には気をつけて頑張ってください♪ (2016年12月25日 23時) (携帯から) (
レス) id: 775f2cdca2 (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - レタスさん！ハッピィクリスマス！あなたのお話…すごく好きです…文章のセンス、間、流れ、全てがツボです。これからも続けて下さいね！私はずっとレタスさんのペンですよー (2016年12月24日 22時) (レス) id: 56b484f566 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：レタス ちょな NeNe 北国 練乳 ゆーりんご x他4人 | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2016年12月23日 9時
