検索窓
今日:3 hit、昨日:2 hit、合計:12,986 hit

第十一話【foglia】 ページ10

風が軽やかに響き、辺りは綿毛が飛ぶ。

赤子が飽きた飽きたと言うようによだれを垂らし、まるで幼稚園児かのような形相で座りこむ少女_____燈煙は、美愛という友人を探し彷徨っていた。
そう、迷子である。
しかし見失って数十分、彼女はたんぽぽの綿毛と戯れていた。その姿は遠目で見れば可愛らしい子供なのだが、近くで目視すると花と喋るただの変人だ。

「たんぽぽさん、げんきー!!」

能天気も空回り、今日もけむりちゃんはご機嫌。





おおきな木の下にさく健気できれいなたんぽぽさんは、わらしをいっぱい見ています。
風がひと吹き、しろいふわふわが遠くまで飛びました。そして、大きな校舎まで_________

「ああっ!!」

わらしは、さっきまで確かに美愛と一緒にいました。今日は入学式があって、いっしょに対抗せんのおはなしをして、それから、それから。

急いでがっこうのところへ、美愛の元へ走ります。だってこっちから美愛のにおいがするんです。
間違いなんてあるはずない。
小さなシロツメクサを踏み踏み、げたばこにぶつかるいきおいで駆け出しました。
まもなく木の模様がついたたてものに入ります。




ああまたか。
童心に帰るのはとても良いことであり、綺麗な心に戻って軽やかな気持ちになって。

誰もが「わらし」の頭を撫でて、なにも知らない私でいられるというのに。
変わってしまった私を気に入ってはいないのだ。

「美愛!いたあ!!」

必然的に、知らぬ間に出る馬鹿の一つ覚えのように明るい声が飛び出てくる。
うん、とてもいい。こうやって、面倒を見てもらえる感覚。
決して悪いものではないと思う。自分のあり方は一つではないのだから、こんな人間がいて当たり前なのだ。このままでいい。

「どこにいたの⁉探したわよ!」
「たんぷぷ!!」
「は!?」
「わたげさんとあそんでた!あ、間違えたたんぽぽだ!!」

覚えれば、勝手にこうやって体も心も動いて私はわらしの意のままだ。
そうやって友達が何人もできて、楽しくなるのだから、これほどまでに素晴らしいことはない。

「ああ、そ、そう…ほら、始まるから行くわよ!」
「あーい!わかった!」





美愛の後ろについて、せっせっせと足をはこぶ。
おててのかくれるシャツワンピがひらひら、口もとにチョコレートが付いているのが見えました。

なんだか、いつもおねえちゃんな彼女なのに、ふしぎ。


小さなむなさわぎと共に、つえを取り出すのでした。

第十二話【よもぎまんじゅう】→←第十話【雪白】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (14 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
8人がお気に入り
設定タグ:募集企画 , 天空魔法学院 , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ブラックアイ - 更新しました (2018年10月23日 18時) (レス) id: b64c02d5d7 (このIDを非表示/違反報告)
ブラックアイ - 更新します (2018年10月23日 17時) (レス) id: b64c02d5d7 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 更新します!! (2018年10月23日 16時) (レス) id: 2baf58587d (このIDを非表示/違反報告)
よもぎまんじゅう(プロフ) - 更新しました (2018年10月22日 20時) (レス) id: 1b69b5d6d8 (このIDを非表示/違反報告)
よもぎまんじゅう(プロフ) - 更新します (2018年10月22日 19時) (レス) id: 1b69b5d6d8 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:雪白 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php  
作成日時:2018年10月14日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。