第十一話【foglia】 ページ10
風が軽やかに響き、辺りは綿毛が飛ぶ。
赤子が飽きた飽きたと言うようによだれを垂らし、まるで幼稚園児かのような形相で座りこむ少女_____燈煙は、美愛という友人を探し彷徨っていた。
そう、迷子である。
しかし見失って数十分、彼女はたんぽぽの綿毛と戯れていた。その姿は遠目で見れば可愛らしい子供なのだが、近くで目視すると花と喋るただの変人だ。
「たんぽぽさん、げんきー!!」
能天気も空回り、今日もけむりちゃんはご機嫌。
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おおきな木の下にさく健気できれいなたんぽぽさんは、わらしをいっぱい見ています。
風がひと吹き、しろいふわふわが遠くまで飛びました。そして、大きな校舎まで_________
「ああっ!!」
わらしは、さっきまで確かに美愛と一緒にいました。今日は入学式があって、いっしょに対抗せんのおはなしをして、それから、それから。
急いでがっこうのところへ、美愛の元へ走ります。だってこっちから美愛のにおいがするんです。
間違いなんてあるはずない。
小さなシロツメクサを踏み踏み、げたばこにぶつかるいきおいで駆け出しました。
まもなく木の模様がついたたてものに入ります。
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ああまたか。
童心に帰るのはとても良いことであり、綺麗な心に戻って軽やかな気持ちになって。
誰もが「わらし」の頭を撫でて、なにも知らない私でいられるというのに。
変わってしまった私を気に入ってはいないのだ。
「美愛!いたあ!!」
必然的に、知らぬ間に出る馬鹿の一つ覚えのように明るい声が飛び出てくる。
うん、とてもいい。こうやって、面倒を見てもらえる感覚。
決して悪いものではないと思う。自分のあり方は一つではないのだから、こんな人間がいて当たり前なのだ。このままでいい。
「どこにいたの⁉探したわよ!」
「たんぷぷ!!」
「は!?」
「わたげさんとあそんでた!あ、間違えたたんぽぽだ!!」
覚えれば、勝手にこうやって体も心も動いて私はわらしの意のままだ。
そうやって友達が何人もできて、楽しくなるのだから、これほどまでに素晴らしいことはない。
「ああ、そ、そう…ほら、始まるから行くわよ!」
「あーい!わかった!」
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美愛の後ろについて、せっせっせと足をはこぶ。
おててのかくれるシャツワンピがひらひら、口もとにチョコレートが付いているのが見えました。
なんだか、いつもおねえちゃんな彼女なのに、ふしぎ。
小さなむなさわぎと共に、つえを取り出すのでした。
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ブラックアイ - 更新しました (2018年10月23日 18時) (レス) id: b64c02d5d7 (このIDを非表示/違反報告)
ブラックアイ - 更新します (2018年10月23日 17時) (レス) id: b64c02d5d7 (このIDを非表示/違反報告)
閑(プロフ) - 更新します!! (2018年10月23日 16時) (レス) id: 2baf58587d (このIDを非表示/違反報告)
よもぎまんじゅう(プロフ) - 更新しました (2018年10月22日 20時) (レス) id: 1b69b5d6d8 (このIDを非表示/違反報告)
よもぎまんじゅう(プロフ) - 更新します (2018年10月22日 19時) (レス) id: 1b69b5d6d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪白 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時:2018年10月14日 21時