１２． ページ12
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タイムリミット……
ーそろそろ港に戻るからな！！−
船長が叫び
エンジンが掛けられた
夢の様な時間も終わりか……
そう思って船の後ろへ行き
広い海原を見つめていたら
何だか悲しくなって来ちゃって…
感傷に浸っていたら
背後から声が……
「どうした？」
ビックリして振り返ったその時
涙が流れて……
そんな私を見た大ちゃんが
近付いて来て
大きな手で私の頬を包み込んだ
「何で泣いてんの？」
『っ、…………泣いてなんか……』
「だって……
じゃあ、これは？……」
『……波しぶき…かな……』
「・・・・・・・・・・」
黙って私の濡れた頬を拭ってくれた大きな手…
思わず俯いてしまった……
「さすがに寒いね…」
そう言って私の肩に
大ちゃんの着ていた服が掛けられた
癒される為だけに海に来た私…
薄着だったせいか
日が落ちた今
寒さが身に染みてた…
何気なくそっと掛けられた服に
大ちゃんの優しさが
私の心に突き刺さった
ダメだよ…好きになっちゃ…
そう自分に言い聞かせた
そして船が港に戻り
お別れの時……
大ちゃんから言われた言葉に驚いた
「また会えるかな？」
えっ？！うそっ……
私、まだ夢の続きを期待してもいいの？
でも………
そう言ってくれた大ちゃんに
『縁があれば…ですね…』
そうこたえた…
「じゃあ、運任せだな…」
大ちゃんから差し出された右手…
私もそっと差し出すと
ギュッと握られ…
もう会う事もない人…
会いたくても会えない人…
何だか……名残惜しいな…
そう思いながら離れた手…
大ちゃんは船長と
またね〜って言って帰って行った
こんな事、二度と起こらないんだろうな
って…まだ夢の中にいる感じで
フワフワしてたんだけど
船長の一言で我に帰された…
ーAちゃん？そんなんじゃ落ちるぞ！！−
『………もう！！夢を壊さないでよ！！
でも……元気出たよ？！
船長…ありがとね
浮上完了です！！』
そう言って船長と別れた
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作者名：Sugar | 作成日時：2015年10月2日 21時
