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1章 1話 ページ2

Side日向 翔陽

「ヤバいっ遅れる〜!!」

叫びながら、自転車に飛び乗る。

後ろで手をふる夏に、手をふり返すと思い切りペダルを踏んだ。


今日は、烏野高校の入学式。

俺は晴れて高校生になった。

俺が住む町からは山を越えて通うから、知り合いはたぶんいない。

でも、それが返って楽しみなんだ。
弾んで止まらない心を、スピードに預けて進む。

「けど、やっぱ、キッつい、な!」

流石に山を自転車で越すというのは、無謀だったろうか。


でも、この感じが“小さい巨人”に近づく一歩だと思うと、俺は嬉しくてもっと強くペダルを踏んだ。


自分を奮い立たせると、俺はどうにか山を越えた。

緩やかな道を、鼻歌を歌いながらゆっくり進んでいく。

しばらくすると、校門が見えてきた。

恐らく、そこが烏野高校なのだろう。

ニヤニヤと緩む頬を抑えていると……視界に眩しいくらいの白が映った。

慌てて自転車を降り、辺りを見回す。

と、「っ……!」


桜の木の下に少女がいた。


耳の少し下まで伸ばした髪が、風になびく。

背が俺より少し低い事と、制服が真新しい事から、同じ1年生なのだろう。


(声、かけようかな…)


ゴクリと唾を飲み込む。

すーっと息を吸い込んで、

「あのさ!桜、好きなの?」

少女に話しかけてみる。

クルッ。

振り返った瞳に涙が溜まっていて、内心臍を噛むが、もう遅い。

ドキドキしながら、少女が口を開くのを待っていると、

「……うん。」

澄んだ少し低めの声が、風に乗って俺の耳に届いた。

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ニンゲンマメ@玄海 - 更新、ファイト(p^-^)p (2015年11月15日 15時) (レス) id: d9184a0fc8 (このIDを非表示/違反報告)
漏電気味配電盤 - つぶだんごさん» わわわっ! ご丁寧にありがとうございます(≧∇≦*) これからも頑張って更新していきます♪ (2015年9月9日 16時) (レス) id: 29a01c2789 (このIDを非表示/違反報告)
つぶだんご(プロフ) - 文章が丁寧で、とても読みやすかったです(*´-`)無理しない範囲で更新頑張ってください!! (2015年9月8日 20時) (レス) id: df05564614 (このIDを非表示/違反報告)
漏電気味配電盤 - ニンゲンマメ@玄海さん» はい! 頑張りますね… (2015年9月1日 11時) (レス) id: 29a01c2789 (このIDを非表示/違反報告)
ニンゲンマメ@玄海 - 更新がんばろーね(´∀`)byリア友 (2015年8月25日 12時) (レス) id: d9184a0fc8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:漏電気味配電盤 | 作者ホームページ:   
作成日時:2015年6月18日 16時

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