【20】他が運命に幸あれ ページ28
不良たちは裏門に居るということだった。
海図くんによると彼らはこの辺りでは有名な筋がね入りの不良であり、海王生なら誰でも知っているという。
そして、なんと彼らは天河原中の不良だというのだ。
海図「ねぇA、本当にあいつらのこと知らないの？」
海図くんがいぶかしげに尋ねた。
私は天河原からここに転校してきたが、私の記憶の限りではその四人の名に覚えがないのだ。
唐沢「うん………」
海図「へんなの………」
海図くんが珍しく眉をしかめる。恐らく機嫌が悪いせいだろう。
裏門に着くと、野次馬がたくさん居て浪川くんたちの姿は見あたらなかった。
唐沢「海図くん！居る？」
海図「こんなに人が居たらわかんないよ！」
海図くんが大きな声で叫んだ。しかしその声も、観衆たちの声でよく聞こえない。
その時、突然悲鳴が上がった。
声のした方を向くと、野次馬たちが一斉にばらけていた。
何事かと駆け寄ると、誰かが倒れている。
唐沢「喜峰くんっ！！！」
私は周りの人を掻き分けて喜峰くんに近づいた。側に屈み、喜峰くんの頬を軽く叩いた。するとうめき声を出してから、喜峰くんが目を開けた。
喜峰「………A？」
唐沢「ねぇ、何が起きてるの？誰がこんな事を、」
喜峰「………俺もよく知らない」
肩で息をし、喜峰くんは苦しそうに咳をした。その時口から血が出て、私の頬に少し付いた。
唐沢「海図くん！喜峰くんを保健室に！」
海図「お、おう！」
背の低い海図くんが喜峰くんを背負って運び出した。私は立ち上がり、頬を付いた血を拭おうとした。
その途端、背中に衝撃を覚えた。
唐沢「きゃああああっ！？」
なにか重いものがぶつかり、うつ伏せに倒れこむ。気がつけば目の前に浪川くんの顔があった。
浪川「A、お前は狙われてる…逃げろ………」
かすれた声で浪川くんが訴える。目の辺りに血がついている。
浪川くんを見て、怒りが沸いてきた。
理由は何だか知らないけれど、みんなをこんな目に合わせるなんて！
私は立ち上がると、不良たちを目で探した。………少し前に、湾田くんの頭が見えた。
唐沢「誰か！浪川くんをお願い！！」
その辺にいた生徒に浪川くんを任せ、私は野次馬を掻き分けて前に進む。
私なんかじゃ、何もできないかもしれない。それでも、私は怒りに身を任せて突き進んだ。
今日の海の男！
浪川「おい、そこのお前！…俺の彼女になれ！！」
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涙音(プロフ) - ＊文月＊〜huduki〜さん» 返信遅くなってごめんなさい。こんな風に誉めていただいたのははじめてです。書いていて良かったです........！実は近々この続編を上げることになりました。もしよろしかったら読んでみてください。本作よりさらに良いものになるよう精一杯執筆いたします。 (2016年12月11日 23時) (
レス) id: 541fead6be (このIDを非表示/違反報告)
＊文月＊〜huduki〜(プロフ) - 私は5年くらいこのサイトで色々な小説を読んできましたが、その中でこの作品がダントツで面白いです。もっと熱く語りたいのですが、文字数の上限をこえそうなのでこれくらいにしておきます。気持ちが伝わると嬉しいです。これからも素敵な作品を作っていってください。 (2016年11月14日 10時) (レス) id: bb022945e6 (このIDを非表示/違反報告)
涙音(プロフ) - 律華@Twitterはじめました。さん» コメントいただいて久しぶりに戻って参りました…とりあえず少しだけ更新しましたが、夏休みに完結できたらと思います！すっかり放置してました… (2015年7月4日 21時) (レス) id: 71e3a373e6 (このIDを非表示/違反報告)
律華@Twitterはじめました。(プロフ) - 更新頑張ってください！続き見たいです！ (2015年7月4日 5時) (レス) id: 7cb333b288 (このIDを非表示/違反報告)
海王星(プロフ) - 久しぶりの更新だね笑 相変わらずの素晴らしい文才！期待に胸が弾むぜ( ´∀｀)← (2014年8月9日 17時) (レス) id: c49ea11c01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：涙音 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/enkorimatsue/
作成日時：2014年1月14日 1時
