【16】湾田くん ページ23
湾田くんに仮病を言い当てられ、私はどきりとした。
唐沢「………えっと、なんていうか………」
私は仮病の言い訳を探したけれど、うまく見つからない。湾田くんに凄まれて、ひっ、という声が出た。
湾田「………なーんて、俺もそんなに鈍くねーし」
片手を腰に当て、湾田くんは得意気に語り出した。
湾田「お前に会った時かな、なんか浪川が変だなって思ったんだよ。…そしたら案の定、お前のことが好きだった」
湾田くんは何を言いたいのだろうか。私は半ば呆然として湾田くんの言葉を聞いていた。
湾田「あいつって超計算高いじゃん。だからわざとお前を振り回したり大胆なこと言って、お前に自分の方を向かせてたんだ」
浪川くんは確かに頭が良さそうだ。でも、私は意表をつかれたような気はしなかった。
浪川くんは凄く素敵な人。盲目になっているせいか、私の中での浪川くんの印象はそれしかなかったから。
湾田「ま、俺は浪川より頭良いけどな」
にっと笑う湾田くんを見て、私はあの漢字テストを思い出した。湾田くんは、きっと繊細な人なんだろうな。
唐沢「そうなんだ」
湾田「………しかし、残念だなー。俺、お前のこと結構好きだったんだけど。浪川にとられちまった」
また、そうなんだといいかけて、湾田くんの顔を見る。……結構好きだった?つまり、失恋した…………湾田くんが、私を好きだった?
唐沢「え、それってさ、湾田くん、」
おろおろと挙動不審になりかけた私の肩に湾田くんが手を置く。思わずびくっとした。
湾田「まぁ、俺は浪川の親友としても、お前らのこと応援してるから。男には言えないこともあるだろうけど、なんかあれば俺に言えよ」
そして湾田くんはまた笑った。
浪川くんとは違う意味で、ああ、湾田くん好きだなって思った。
つまり、嬉しかったってこと。
今日の海の男!
浪川「おい、そこのお前!…俺の彼女になれ!!」
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涙音(プロフ) - *文月*〜huduki〜さん» 返信遅くなってごめんなさい。こんな風に誉めていただいたのははじめてです。書いていて良かったです........!実は近々この続編を上げることになりました。もしよろしかったら読んでみてください。本作よりさらに良いものになるよう精一杯執筆いたします。 (2016年12月11日 23時) (レス) id: 541fead6be (このIDを非表示/違反報告)
*文月*〜huduki〜(プロフ) - 私は5年くらいこのサイトで色々な小説を読んできましたが、その中でこの作品がダントツで面白いです。もっと熱く語りたいのですが、文字数の上限をこえそうなのでこれくらいにしておきます。気持ちが伝わると嬉しいです。これからも素敵な作品を作っていってください。 (2016年11月14日 10時) (レス) id: bb022945e6 (このIDを非表示/違反報告)
涙音(プロフ) - 律華@Twitterはじめました。さん» コメントいただいて久しぶりに戻って参りました…とりあえず少しだけ更新しましたが、夏休みに完結できたらと思います!すっかり放置してました… (2015年7月4日 21時) (レス) id: 71e3a373e6 (このIDを非表示/違反報告)
律華@Twitterはじめました。(プロフ) - 更新頑張ってください!続き見たいです! (2015年7月4日 5時) (レス) id: 7cb333b288 (このIDを非表示/違反報告)
海王星(プロフ) - 久しぶりの更新だね笑 相変わらずの素晴らしい文才!期待に胸が弾むぜ( ´∀`)← (2014年8月9日 17時) (レス) id: c49ea11c01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:涙音 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/enkorimatsue/
作成日時:2014年1月14日 1時