【11】ときめき ページ16
なんだか気まずい空気にさせちゃったけど、まぁいいか。
それより、部室にいたせいで手が凄く冷たい。………手袋、持って来ればよかったなあ。
かじかむ手で靴を履き替えるけど、手の感覚があまりないから、靴を落としそうになる。
両手を擦り合わせて温めながら廊下を歩いていると、担任の先生に会った。
唐沢「…おはようございます」
なんだか声まで震えている気がした。なんとか挨拶すると、先生は私の顔を見て笑った。
担任「お、丁度良かった。…これ、教室に運んどいてくれ」
そういって先生が私に持たせたのはプリントの山。………どうやら漢字テストか何からしい。ってそんなことはどうでも良くて。
先生「じゃ、頼むぞ」
先生のスマイルが「してやったり」って言ってるみたい。
唐沢「………うわっ、落ちる!」
………危ない。
転校早々(?)で元々荷物が多いのに、なにこの試練。
絶対落とすなぁ………と思っていた矢先に誰かに肩を叩かれ、驚いて全部のプリントを落としてしまった。
浪川「わ、わりぃ!驚かすつもりはなかったんだが………」
唐沢「あ、おはよう浪川くん」
浪川「………なんだ、これ?」
浪川くんは床に広がったプリントを見た。
唐沢「先生に運べって言われて。…漢字テストみたいだけど」
すると浪川くんは、そうか、と呟くと、プリントを拾い始めた。
私も一緒に拾い、すぐに全て拾うことができた。
浪川「お前の分も持ってやるよ」
唐沢「いや…なんか悪いよ」
浪川「女を働かせる訳にはいかねぇよ」
「女」という単語にドキッとした。浪川くんは私を女として見ている。もちろんクラスの女子ってことだろうけど、凄くドキドキした。
浪川「………お前が持つ分はこれだけでいいだろ」
浪川くんはプリントの束を抱え、そのうちの一枚だけ私に差し出した。
浪川くんって優しいなぁ、と少しときめきながらふと、そのプリントを見た。
唐沢「…………湾田くんのだ」
こういうのって見ちゃいけないんだろうけど、私はつい湾田くんの点数を見てしまった。
唐沢「え!?」
今日の海の男!
浪川「おい、そこのお前!…俺の彼女になれ!!」
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涙音(プロフ) - *文月*〜huduki〜さん» 返信遅くなってごめんなさい。こんな風に誉めていただいたのははじめてです。書いていて良かったです........!実は近々この続編を上げることになりました。もしよろしかったら読んでみてください。本作よりさらに良いものになるよう精一杯執筆いたします。 (2016年12月11日 23時) (レス) id: 541fead6be (このIDを非表示/違反報告)
*文月*〜huduki〜(プロフ) - 私は5年くらいこのサイトで色々な小説を読んできましたが、その中でこの作品がダントツで面白いです。もっと熱く語りたいのですが、文字数の上限をこえそうなのでこれくらいにしておきます。気持ちが伝わると嬉しいです。これからも素敵な作品を作っていってください。 (2016年11月14日 10時) (レス) id: bb022945e6 (このIDを非表示/違反報告)
涙音(プロフ) - 律華@Twitterはじめました。さん» コメントいただいて久しぶりに戻って参りました…とりあえず少しだけ更新しましたが、夏休みに完結できたらと思います!すっかり放置してました… (2015年7月4日 21時) (レス) id: 71e3a373e6 (このIDを非表示/違反報告)
律華@Twitterはじめました。(プロフ) - 更新頑張ってください!続き見たいです! (2015年7月4日 5時) (レス) id: 7cb333b288 (このIDを非表示/違反報告)
海王星(プロフ) - 久しぶりの更新だね笑 相変わらずの素晴らしい文才!期待に胸が弾むぜ( ´∀`)← (2014年8月9日 17時) (レス) id: c49ea11c01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:涙音 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/enkorimatsue/
作成日時:2014年1月14日 1時