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おそらくドラコは人を殺したくはないのだろう。
しかし大切な家族を人質に取られている以上、彼は両親を護るためには自分の気持ちを殺してまでダンブルドアを殺さなければならない。
そうしなければ確実に自分たちの死が待っているからだ。
「ドラコよ、我々の側に来るのじゃ。
さすれば我々は完璧にヴォルデモートの魔の手から守ってみせる。
今すぐにでも君の母上の元に騎士団の者を遣わし、君と同様に匿うこともできる。来るべき時が来れば、父上も同じように保護すると約束する」
「そ、そんなこと出来るわけが…」
「出来る。わしを信じてくれ。
君の手を血に染める訳にはいかぬ」
「………本当に、守ってくださるのですか？」
「無論じゃ」
ドラコの杖を持つ手が震えていた。
その時急に背後から声が聞こえてくる。
「あれ、悪名高いディメンターじゃないか。
なんでそんなところに隠れているんだ？」
そう言ってAを連れて展望台の扉を開け放つ。
怯えた様子のドラコの前に黒いローブに身を包んだ5人の死喰い人が姿を現した。
A以外の侵入者は杖もなく力なく壁に寄りかかるダンブルドアを見ると喜びに満ちた笑い声を上げた。
「よくやったぞ、ドラコ！あの方も喜びになる」
「アミカスにアレクト、フェンリールこんばんは。
そちらは...見ない顔じゃな？」
ダンブルドアがAを見て言う。
彼がAだとわかって、気遣って言っているのか本当に分かっていないのか定かではないが、ダンブルドアのその言葉に少し安心する。
Aの顔をちらりと見てからフェンリールが口を開く。
「会えて嬉しいぞ。ダンブルドア」
「そうは言えぬ。よりにもよって君のような男をこの学校に招待するとは…多少の嫌悪感を覚える」
「し、知らない。僕はこいつが来るなんて聞いてない」
ドラコはフェンリール・グレイバックを見ないようにしながら、消えるように言った。
フェンリールは数いる人狼の中で最も残酷で獰猛とされる男だ。
グレイバックの頭の中には魔法使いの子供を噛んで人狼にし、時には食い殺すことに愉悦を感じる危険極まりない狂人だった。
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作者名：並木 | 作成日時：2017年3月13日 0時
