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『わかったけど、ドラコも約束して』
「なんだ?」
『絶対に危ないことはしないで。
自分の命を優先して』
Aはドラコの灰色の瞳を見つめて言った。
彼はAの言葉にちょっと動揺したような顔をしたが、わかったと言って、Aの頰に優しくキスをした。
『...頑張って』
「...あぁ」
ドラコは力強く頷き、中庭へ続く廊下を走っていく。
彼の姿が見えなくなったところで、Aもスリザリンの寮に戻ろうと2、3歩歩く。
しかし、やはり心配になって、彼には悪いが足音を立てずにその姿を追った。
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「校長、貴方の悪運もこれまでだ」
「中々の腕前じゃ、ドラコ」
ダンブルドアとドラコの話を聞きながら、物陰でハリーは歯痒く思った。
その夜、ハリーはダンブルドアと共に分霊箱の一つがあるとされる場所に来ていた。
ヴォルデモートを倒す為にはその全てを破壊する必要性があるのだが、今回はダンブルドアと一緒に破壊すべく同行していた。
そこは恐ろしい瘴気に囲われた毒の沼地であり、その中央にある小屋に分霊箱が保管されているという話だった。
沼地は幾つかの魔法の使用が制限されていた為に2人は用意されていたボートで渡らなければならないのだが、それは1人用だった上にオールもなかった。
つまり1人がボートを引っ張って毒沼を渡る必要があったのだ。
そしてダンブルドアがその役目を引き受けた。
彼がわざわざハリーをここに連れてきたのは、自分の代わりに分霊箱を見付けさせる為だったのだ。
毒沼を渡りきったとき、毒と瘴気によりダンブルドアは言葉も侭ならぬ程に酷く衰弱していた。
ハリーは小屋の中を必死に探したが、見つけ出した分霊箱は偽物だった。
2人が訪れたのはヴォルデモートが自分の分霊箱を守るために用意したダミーだったのだ。
騙されたことに悔しさを覚えながら、ハリーはダンブルドアを連れて必死にホグワーツ城へと戻った。
ハリーは直ぐ様マダム・ポンフリーを連れてこようとしたが、ダンブルドアはスネイプを連れて来るよう指示をした。
疑問を抱きながらも天文台から出ていこうとした矢先、ドラコがそこに飛び込んできた。
ダンブルドアは咄嗟にハリーに凍結呪文をかけ、見付からないよう部屋の隅っこの方へと移動させた。
そのせいでダンブルドアは自分を護るのに遅れしまい、ドラコに追い詰められる結果になっていた。
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作者名:並木 | 作成日時:2017年3月13日 0時