▽距離感14 ページ15
ut「Aちゃん、案外学ばへんよな。それとも、僕ん事信頼してくれとるん？」
紅茶を置いた彼の手はするりと頬に当てられ、ビシッと身体が固まる。何してるんだ本当に。嫌でも思い出すハンカチを差し出したグルッペンの同じ距離、もしくはそれ以上に近い。その手をぐっと取れば、バランスを崩した鬱は私ごとソファに倒れ込む。
危険信号が点滅する中、取り敢えず鳩尾でも蹴りを入れて気絶させようと試みるが馬乗りにされては何もできない。
ut「鬼畜上官と言えどか弱い女の子やもんね？」
『うるさい奴は好きじゃない』
ut「黙ったらええの？」
『いい訳ないだろ帰れ』
両手をソファに縫い付けられ、彼の髪がさらりと首元へ落ちる。噛み付く訳でもなくただ静かに黙っている鬱に対して、羞恥など微塵も無く、代わりに恐怖の方が徐々に芽生え始めてきている。冷静に考えて何故今此奴はこんな事をしているのかと真面目に考え始めると尚更怖くなる。
『おいう、つ』
片手で片方の手を押さえつけたまま、彼の手はするりとシャツの中へ入ってくる。危険信号はいよいよ爆発しそうだ。
彼の冷たい指先が余計に感じられてしまうのは、体温が上がっているからだろう。焦り始めたから体温が上がってきている。おまけに暖かいのも飲んだばかりときた。細い指は慣れた手つきで肌を撫で、私の空いた片方の手はその手を制するべく腕を掴むが、上手く力が入らない。
『おい、無視するな』
ut「…してへんよ。聞いとる。うっすいなと思って…ちゃんとご飯食べとんのこれ」
『要らん心配をするな、っておい、っ』
ut「チーノから聞いたで。フリーやろAちゃん。なら別にええかなって！」
『駄目だ帰れ』
大丈夫やって、と声を出した鬱。何が大丈夫なのか。ちらと時計を見れば本当にそろそろ寝たい時間だ。
ティーカップの紅茶がしっかり飲み干されているのを確認して、鬱を見る。
ばち、と目が合えばにっこり微笑まれる。
『そろそろ眠たくなってきたかな？鬱』
え？と呟いた鬱の瞼が半分ほど下がってきている。
何が何だかわからないという鬱の力は次第に抜けていき、どさりとソファに倒れ込んだ。
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きょきょ - くそ〜うぅ良いところなのに〜続きがぁーないー (11月27日 3時) (
レス) @page24 id: c9d0d6f436 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - リゼさん» ありがとうございます！そうなんですね、、どんどん沼っていってください！！ (2021年8月15日 8時) (レス) id: c17c74b3a4 (このIDを非表示/違反報告)
リゼ(プロフ) - 素敵な作品だぁ、、、今どハマりしてますw更新頑張ってください！ (2021年8月14日 19時) (レス) id: 0b187b7a06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：零
| 作成日時：2021年1月20日 0時
