▽渇望14 ページ15
スマートに会計を済ませてしまった男、グルッペンさんは自分のものも一緒に買って、私の後ろから手を伸ばすなりトレーを取って「久々だな」と言う。
OLの声がうるさいのなんのって。
『ぐ、ぐる、グルッペン…、さん』
gr「前を通ったらAがいたんでな、寄ってみたんだが」
『いやいやいや!困ります』
gr「ん?」
買ったハンバーガーを渡されお金を返そうとすれば「いらない」と断られた。最悪だ。こんな大勢の人の前でやめてほしい。
彼氏がどうの、と騒ぐOLの目はきらきらとしたものから嫉妬のものまで。特にすぐ近くから飛んできた嫉妬は先輩のものだった。それはもう鬼の形相で。
というか先輩、あなたがこっそり部長を思って、こっそりときめいたりとか、こっこり青春じみた片想いしてるのしってんかんな!
「も〜…えぇ…東雲裏切ったわね。…どうも、初めまして。東雲の上司の神崎です」
gr「どうも、いつもAがお世話になってます」
『お世話もされてないですし、まずただの仕事相手ですよ先輩困ります』
「へぇ?…じゃ、お昼休憩あと30分くらいなので東雲のこと、頼みました」
えぇ勿論。
と、グルッペンさんが微笑めば半ば私を睨む様に去って行った先輩。これは、最悪だ。社内であらぬ噂が立つのだけは本当に避けたい。
面倒な女もいるんだから!先輩みたいな!
慌てて先輩を追いかけようと店から出て、社の方へと足を向ければぱっと手を掴まれた。
gr「A、一緒に食べるぞ」
『…は、はぁ。あのですねグルッペンさん、これは私の今後を左右する大きな事件でして。私と貴方とであらぬ噂を立てられるかもしれないんで___』
ぐっ、と少しだけ手に力が込められた。
gr「あらぬ噂、立てられたらお前は困るのか」
それはどういう、そこまで口を開いて先が続く事はなかった。何故なら後ろから大声で此方へやってくる男二人がいたからで。グルッペンさんはその姿を視界に入れるなり小さく舌打ちをしていたけれど、格好から察するに部下じゃないのか。
それでも私はどこか安堵した気分になって、走ってきた知らぬ男二人に感謝した。
⁇「なんやグルッペン、女か」
⁇「えめっちゃ綺麗やん」
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ビジネス不仲? - 詐欺師の朝ごはんはやばい (2021年8月25日 14時) (レス) id: 7e1bdb3c05 (このIDを非表示/違反報告)
有馬(プロフ) - 待っておりました。お忙しいと存じ上げておりますが、素敵な読み物の続きが出たのが嬉しく、また感想を送ってしまいました。お変わりなくご息災を願います (2021年5月4日 12時) (レス) id: 0957251bb6 (このIDを非表示/違反報告)
有馬(プロフ) - とても素敵な読み物をありがとうございます (2021年5月2日 21時) (レス) id: 0957251bb6 (このIDを非表示/違反報告)
つくもがみ(プロフ) - 好きです。大好きです。無理なさらず、更新頑張ってください。 (2021年2月7日 15時) (レス) id: 5dd14ac0cc (このIDを非表示/違反報告)
雷斗 - すっき!!!! (2021年1月31日 22時) (レス) id: ecb0b24c21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:零 | 作成日時:2021年1月16日 16時