▽落とされる30 ページ31
『鬱君？なんか顔色悪いな…？』
ut「そお？」
『うん…手、つめた』
ut「Aちゃんはあったかいね」
『いやそんな事言ってる場合じゃなくてだね』
なんかやばいぞ、と頭の中で危険信号が点滅し始めた。明らかに様子のおかしい鬱君は私の手をとったまま此方を向いている。心なしか若干顔が赤い鬱君を押してみるがびくともしない。昔は私も彼も大した体格差はなかったのだけれど。
特に鬱君は他の男子よりも少し細い…いや、昔は細すぎるくらいでよく女の子みたいだと思っていた。
だ
からきっと大人になってもこのままだろう、このままだといいな、と勝手に思い込んでいたのだがそうではなかったようだ。ここでもまた、彼と開いてしまった差を思い知らされた。
とはいえ、私はそんなことをずるずる気にする女では無いので彼が成長しようとなんでもいいのだが。
ut「あつ…」
彼にするりと指を絡められてぐっと距離が縮まる。
これは私が受け入れたとか、彼の鼓動が異様に早くはっきり聞こえるとか、そんな恋愛漫画のような展開だったらどれほど良かった事だろうか。
『君、熱あるだろ』
向き合う形でそのまま私の肩に頭を乗せて、脱力した彼は小さく唸った。普段ならその辺に放り投げるところではあるのだがこの状態じゃそうもいかない。
魔法で即座に水を出し、素早く氷に変える。
彼を横に寝かせて氷を額に乗せてやった。馬車の中だからだいぶ狭いけれどあと少しで屋敷だから我慢して欲しい。私の家の方が近いから今日は家に泊まらせるしか無いな。
家へ連絡を入れればすぐに了承の返事が来た。
これがきっと鬱以外だったらそう簡単にはいかなかったろう。
馬車が止まってドアが開けば、アイザックが驚いた顔をして鬱君を視界に入れた。
ai「お運びしましょうか」
『…あぁ、頼むよ』
そうして彼を起き上がらせれば、ぎゅ、と服の袖を彼につかまれる。
『…いや、やっぱり良い。先に部屋の準備をしといてくれアイザック』
ai「承知しました」
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和奏(プロフ) - めちゃくちゃ好きです…… (2022年7月23日 1時) (
レス) @page30 id: 670d6c146b (このIDを非表示/違反報告)
葛 - 帰って来て欲しい、、この作品はめっちゃ神だから、、我儘言ってごめんなさい。他でなんか言ってたらすみませんm(_ _)m (2021年4月1日 11時) (レス) id: e3a78427cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：零
| 作成日時：2021年1月5日 17時
