▽感情70 ページ23
tn「ほんまにごめん…記憶、無いんやけど。ごめんなA、寒かったやろ？ごめん、俺が気抜いてもうたから……、Aが…」
口を開いて飛び出すのは謝罪ばかりだった。書記長は見た事ないくらい顔を青褪めさせて、私の肩に置かれた手には少しだけ力が篭っていた。普段なら合う筈の目も今日は逸らされてばかりで、いつもと違う少し強めの香水が、私の視界を眩ませた。
私が言葉を口にする前に書記長がどんどん言葉を吐いていく。「おい」と言ったグルッペンさんが私の肩に置かれた書記長の手を払う。
あ、と情けない声が書記長から漏れた。一晩見なかっただけなのに、何故こうも書記長は変わったのか。
gr「トントン」
tn「…？」
gr「昨晩はなんも無かったんやろ？」
tn「…おん」
gr「なら大丈夫だろ」
「「いや何がやねん！！！」」
一人頷いて納得するグルさんは私に新しく淹れた紅茶を差し出しながら、書記長を横目に見た。
gr「なんだお前ら、トン氏が信じられないのか」
澄まし顔で、首も傾げず、当たり前だとでもいう風に疑問を口にしたグルさん。数秒の沈黙を経て、最初に口を開いたのはコネシマさんだった。
湯気の立つティーカップ、表面に映るのは揺れる自分で曖昧な顔をしていた。コネシマさんとばち、と目が合った。
いつか見た挑発的なコネシマさんはどこにもいない。
kn「まぁたしかに。トントンが手出すなんて出来る訳無いしね。というかそのマリーナ様はどこおるん」
何か反論したげな書記長だったが、すぐにぐっと堪えてため息を吐いた。何事も無かった様に、嘘だった様に、するりと話を塗り替えていく。それでも、あった出来事は事実、現実だから忘れない、とでも言いたげな顔をするコネシマさんに鬱先生が不服そうな顔をした。
tn「…朝起きて部屋にはおらんかったで？」
ut「トンちが寝てる間に帰ったんやろ」
em「そしたら客室やな」
gr「まぁ、この婚約話をどうするのかはお前が決めろトントン。受けても受けなくても誰も責めないゾ」
そう言ったグルさんは「あとは頼んだ」とその場全員に行って食堂から出て行った。
まだ、書記長の瞳は曇ったままだ。
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すみれいん(プロフ) - 零さん» す、すげぇ…もう…考える力が凄いです。素敵なお話ありがとうございます！！！ (2021年1月31日 17時) (
レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - おぼろどうふさん» えぇ！！！ついにですとも！！！ありがとうございます笑 遂にですね…本当に嬉しい限りです、ありがとうございます！ (2021年1月30日 11時) (レス) id: c17c74b3a4 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - シャノ＠楓さん» 声が…声が……声の重要性は感情が芽生えたからこそ分かったんです……声がぁ…（自分で書いてて悶えてます） (2021年1月30日 11時) (レス) id: c17c74b3a4 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - すみれいんさん» 飴ちゃんがこんな風にして使われるのは、knさんが飴渡し始めた時から構想にいれたりはしてました笑 ありがとうございます、そう言って頂けるととても嬉しいです！ (2021年1月30日 11時) (レス) id: c17c74b3a4 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 真さん» 書いてる自分もしんどくなってたりします……… (2021年1月30日 11時) (レス) id: c17c74b3a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：零
| 作成日時：2020年12月30日 18時
