▽感情61 ページ14
＊
⁇「こんにちは」
華やかなドレスに身を包み、セットアップされた茶色の長い髪、大きな瞳には私が映り、彼女の口元はにっこりと三日月を描いている。「可愛らしいじゃない」とおっとりした優しい口調で私と目を合わせてまた笑う。
総統室に私だけが呼ばれたのは初めてだった。
いつも書記長の跡を追って、一緒に訪れるか、もしくは書類を届けに此方から出向いたりとそんな風。
グルさんの隣に腰を下ろしている美しい女性は、私に座る様に促した。
gr「ありがとうございます、Aは優秀で、よくトントンの補佐をしているんですよ。
A、挨拶」
エミさんとグルさん、書記長に教わった挨拶の仕方。無礼のない様、客人には礼儀正しくしなくてはいけない。
『はじめまして。主である書記長、トントン様に支えております、Aと申します』
ma「貴女がAちゃんね。話は聞いてるわ。
私はトントンさんと婚約関係を結んでいるマリーナよ、よろしく」
『…？』
gr「マリーナ嬢、まだ決まった訳ではありませんよ」
ma「あら、ごめんなさい？」
「でももう決まった様なモノでしょう？」と、笑顔を見せたマリーナ、と呼ばれる女性。私の嫌な予感は当たってしまう。婚約者、というのもちゃんとわかる。
嘘の吐けないあの人を、騙したのも"婚約者"だった。
過去の記憶をなぞっても、今が進展する様には思えない。
それがどんどん分かっていくと、頭が冴えて、少し鼓動が速くなる。嫌な予感。
上官と同じ道を、書記長が、歩みかけている。
其れ等の鍵は、全部、"わたし"だ。
私にはどうする力も無い。書記長の言う事は必ずで、命令違反は二度も出来ない。何も言わない様にと唇をきゅっと結んだ。
悟られるまい、と。
gr「…A？」
悟られては、いけない。
gr「大丈夫か？」
それでも私は、もう二度と、
ma「顔色が悪いわ…！私が連れていきましょうか」
gr「いや、しかしそれは」
ma「任せてくださいグルッペン様。じきに私も軍人の妻となる身、信じては頂けませんか？」
gr「…あぁ、頼んだ」
大切な人を失いたくない。
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すみれいん(プロフ) - 零さん» す、すげぇ…もう…考える力が凄いです。素敵なお話ありがとうございます！！！ (2021年1月31日 17時) (
レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - おぼろどうふさん» えぇ！！！ついにですとも！！！ありがとうございます笑 遂にですね…本当に嬉しい限りです、ありがとうございます！ (2021年1月30日 11時) (レス) id: c17c74b3a4 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - シャノ＠楓さん» 声が…声が……声の重要性は感情が芽生えたからこそ分かったんです……声がぁ…（自分で書いてて悶えてます） (2021年1月30日 11時) (レス) id: c17c74b3a4 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - すみれいんさん» 飴ちゃんがこんな風にして使われるのは、knさんが飴渡し始めた時から構想にいれたりはしてました笑 ありがとうございます、そう言って頂けるととても嬉しいです！ (2021年1月30日 11時) (レス) id: c17c74b3a4 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 真さん» 書いてる自分もしんどくなってたりします……… (2021年1月30日 11時) (レス) id: c17c74b3a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：零
| 作成日時：2020年12月30日 18時
