▼感情48__tn side ページ1
＊
城全体は真っ白に、銀世界へと包まれたこの国の現在の気温は−6°。風が吹いていないのがせめてもの救いで、兵士総動員で積雪の処理に当たっている。街へ救援に行く部隊と、城内の雪で埋もれてしまった道を戻す作業。これだから冬は色々と仕事が増える。
通常業務にプラスされて行う冬のこのイベントは、視界的には楽しめるものの、実際身体的にくる負担の方が大きすぎるのだ。
tn「大丈夫かA！！」
数メートル離れた場所で俺と同じ様に玄関前を雪掻きするAに声を掛ける。寒く無い様にと渡した例の紺色の外套と手袋とをしたAが此方を向いた。Aの声量ではここまで届かないから、肯定の場合には手を上げろとお願いしてある。
俺の呼びかけに対してAはシャベルやらを持っていない方の腕を上げて、手を大きく俺に振った。
なんやそれ、可愛ええな。手振れなんて言ってへんのに。はぇぇ…可愛い。
tn「一旦休憩にするで！！！」
ざくざくと遠くから雪を踏み分けてAが此方へやってくる。危ないから手を差し伸べ様と俺もAの方へ向かう。シャベルを置いて再びAの方を向いた時。
銀世界からAがすっと、消える。それは一瞬で。…は？それから雪が少し崩れる音。
tn「A！？」
走ってAのいた所まで走る。そうすれば雪の上へと寝転がった様な体勢のA。雪に足を取られて埋もれてしまったのだと理解。
被ったニット帽とマフラーとで殆ど顔は見えないが、鼻や頬が赤くなって寒そうに息が白い。
『…しょきちょう』
tn「あ、すまん大丈夫か」
助けてくれと言わんばかりの目。少し不満げな、珍しく機嫌が悪そうなAの手を取って、一先ず上半身を起き上がらせれば『ありがとうございます』と元のAに戻った。
Aでも、雪には負けるんやなぁ、なんて思考を巡らせて怪我は無いかと確認。
tn「寒いなぁ…、」
『そうですか？』
tn「Aも寒そうやけど。鼻真っ赤やし」
『寒いのは慣れているので』
tn「だとしてもあんま身体冷やしたらあかんで。一回あったかいもん食べに戻ろか」
こくりと頷いて立ち上がったAの手を引く。今度は転ばぬ様、慎重に歩くAが愛おしくて、思わずふっと笑ってしまった。
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すみれいん(プロフ) - 零さん» す、すげぇ…もう…考える力が凄いです。素敵なお話ありがとうございます！！！ (2021年1月31日 17時) (
レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - おぼろどうふさん» えぇ！！！ついにですとも！！！ありがとうございます笑 遂にですね…本当に嬉しい限りです、ありがとうございます！ (2021年1月30日 11時) (レス) id: c17c74b3a4 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - シャノ＠楓さん» 声が…声が……声の重要性は感情が芽生えたからこそ分かったんです……声がぁ…（自分で書いてて悶えてます） (2021年1月30日 11時) (レス) id: c17c74b3a4 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - すみれいんさん» 飴ちゃんがこんな風にして使われるのは、knさんが飴渡し始めた時から構想にいれたりはしてました笑 ありがとうございます、そう言って頂けるととても嬉しいです！ (2021年1月30日 11時) (レス) id: c17c74b3a4 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 真さん» 書いてる自分もしんどくなってたりします……… (2021年1月30日 11時) (レス) id: c17c74b3a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：零
| 作成日時：2020年12月30日 18時
