脆い.24▽ ページ25
「そういえば、名前聞いて無かったね〜」
沈黙を破って先に口を開いたのは黄猿の方だった。
俯く私に上から声が降ってくる。
少しだけ、其方を見やれば先とは違う表情の人がいた。
黄猿に変わりは無いんだけど、なんか…丸くなったといいますか
『……A、です。
今日は、ぁ、ありがとうございました』
一歩、一歩と距離を取る。
様子を伺いながら帰ろうとする自分。
黙って此方を見る黄猿は諦めたのか何なのか…。
私より先をすたすたと歩いていく。
かと思えば、ぴたりと足を止めて此方を振り向いて、
「お疲れ様〜。医務室、ちゃんと行くんだよ〜
Aちゃん」
それだけ言って、ひらひら手を振って去っていく黄猿。…これは、
『認められた、のか？』
認められたい訳じゃないけど疑いは晴れたんだろうか。それでも、少しだけ距離は縮まった気がする。
出来ればこの微妙な丁度良い距離を
このまま保っていきたいと思う(切実に)
この世界に来てからまだそんなに経っていないのに、
適応能力を発揮出来てるっぽい。
一先ず医務室だけど、
血くらいは水道場で流してしまおう。
移動中に服が汚れるのも嫌だし。
そう思って水道場で軽く血を洗い流していれば、
後ろから不意に声が掛かる。
「なんじゃ、
センゴクに聞いて来てみれば…小娘か」
豪快に笑う声。
『…ぇーと』
「わしはガープ、まぁ海兵じゃ。その辺は雑でいい」
『あ、Aです』
雑で良いんかい。
ガープ。海軍の英雄。
成る程、くそ怖いじゃねーか。
眠そうに欠伸をしたガープは、私の右頬を指差して「怪我か」と一言。
かと思えば、また笑い始めてしまって。
何が可笑しいのか面白いのか、
私には到底理解出来ないが…
「医務室行くか」
『…今から行こうと、』
「なら丁度いい」
左腕をぐいと掴まれて、
昨日たしぎさんに案内された医務室への道をどんどん進んでいく。
一人で行けると腕を振り解こうとしたが
びくともしない。
軋むのは腕の方で、骨が折れそう。
「落ち着かんか‼医務室に行くだけじゃァ‼」
急な大声に勢いよく、びくりと反応すれば
それが面白かったのかまた笑い出すガープ。
…覚えとけよ
.
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ひかり(プロフ) - 続編楽しみです。 (2020年4月25日 13時) (
レス) id: 2b9098a683 (このIDを非表示/違反報告)
リーナ - コメント失礼します！めっちゃ面白いです！！これからも頑張って下さい！ (2020年4月23日 20時) (レス) id: 4ce14ca331 (このIDを非表示/違反報告)
ソル - 白ひげ海賊団とどんな繋がりがあるのか楽しみです！更新頑張ってください！ (2020年4月19日 21時) (レス) id: 7bc681eabc (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 知ってるアニメは何ですか？ (2020年4月4日 11時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
ミラージュミラー - トリップって難しいと僕は思います。なのにとっても面白い！小説アドバイス頂きたい位です！これからも頑張って下さい！ (2020年4月2日 10時) (レス) id: 1bda2ccaaa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：零
| 作成日時：2020年3月10日 13時
