脆い.11▽ ページ12
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つんとする消毒液の匂いが鼻の奥をつく。嗅ぎ慣れないその匂いは、今までどれだけ平和な世界で生きていたのか感じさせるには十分すぎる気がした。
「はーい、着いた……って、誰もいねぇ」
医務室は空で誰もいない。
整えられたベッドと乱雑に置かれた包帯。
『あぁ…ほんとだ。氷で冷やせれば良いので私でも出来ますよ』
「そう…俺も手伝うよ」
「怪我人は座ってなさい」とか言われてしまって近くの椅子に座らせられた。解せぬ。
一人で出来るもん、って言ったぞ私は
医療用戸棚から消毒液やら包帯やらを持ってきた青雉はそれを机に置いた。
「医療関係はさっぱりだからなァ…んで、出来るんだっけAちゃん」
『ある程度なら』
掠ったところに、ガーゼに消毒液を染み込ませて軽く当てる。一通りのことをやってから、青雉が切ったガーゼを当てて包帯を巻いて___
多分こんなモンでは???
元いた世界でRICEとかなんか習った気がする。まさか使う日が来るとは…
保健の授業舐めちゃあかんな(真顔)
「手際良いけど、医療習った事あるの?」
『…無い、ですかね。これくらいは出来て当然ですよ青雉さん』
「遠回しに煽られた気がする…まぁいっか。歩けそう?」
『…さっきよか大分マシです』
これくらいの会話が出来るくらいには青雉と喋れる様になった。良かった…最初の圧が嘘の様だね
一度足元に視線を落としてから、再び上を向いて行こうと声を掛けられた。
「案内…つっても慣れて貰うのが手っ取り早いし。センゴクさんのとこ行ってから考えよっか」
"センゴク"
頭にカモメ生えてる人。いや、正確には別に生えてる訳じゃなくて、海軍の象徴を乗せてるだけなんだけど。
どうせなら、赤犬も元帥になる時それを引き継いでいけば良かったのに…
…無理だな。
やめよう。赤犬にカモメは似合わない。
もっと猛獣とか飼い慣らしてそうだし
「あ、それから…立ち入っちゃ不味いとこもあるから気を付けてね」
はは、と乾いた笑いを零す青雉。
『…あはは』
…全然笑い事じゃなくね??
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ひかり(プロフ) - 続編楽しみです。 (2020年4月25日 13時) (レス) id: 2b9098a683 (このIDを非表示/違反報告)
リーナ - コメント失礼します!めっちゃ面白いです!!これからも頑張って下さい! (2020年4月23日 20時) (レス) id: 4ce14ca331 (このIDを非表示/違反報告)
ソル - 白ひげ海賊団とどんな繋がりがあるのか楽しみです!更新頑張ってください! (2020年4月19日 21時) (レス) id: 7bc681eabc (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 知ってるアニメは何ですか? (2020年4月4日 11時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
ミラージュミラー - トリップって難しいと僕は思います。なのにとっても面白い!小説アドバイス頂きたい位です!これからも頑張って下さい! (2020年4月2日 10時) (レス) id: 1bda2ccaaa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:零 | 作成日時:2020年3月10日 13時