【ONE PIECE】脆くて弱くあれ。

脆い.33▼ ページ34

「そういや、聞いたかお前」
『何をです…？』
「七武海の話だ」



『七武海』と復唱したのを見てまだ話していなかったか、と少しの後悔を覚える。
昨日確かにあのサボる上司に
"「Aちゃんには今日中に言っとくよ」"
と言われたんが…。


それは結構重要な話で、
まぁ(今のところ)一般人の子供は関係無いが、



「来週すぐに、"七武海合同会議"がある」



それに、
来週はこの子供もいない。


だから丁度良いし安全だろうと上が出した結論だ。
そもそも、海賊と会った事が無いらしいこの子供に
初対面の海賊があんな野郎共とは
中々キツいだろうからな。


『へぇ、七武海。でも、私は多分その頃には外出てますねぇ』
「今のところ、な」
『嫌だな…何もしませんよ』


反論気味に突っかかってくるのは、そこらにいる
子供と同じノリ。
けれど、そこからの切り替えが馬鹿みたいに大人で。
次見た瞬間には何とも無かった様な顔。




「心配無いとは思うが、
たしぎに案内されたろ、危険区域。あそこは近寄るんじゃねェ。万一、がある」




出席率はゴミクズらしいが。




『あの大きい部屋ですね…行き方忘れたので、
行きたくても行けませんよ』

「寄るなって言ってんだろうが」

『行きませんよ…何されるか分かんないし』



あぁ…今のは少し子供っぽかったな。


何をされるか。
それはきっとこの子供の考える事の何倍も面倒な事だろう。
絡まれるとか、切られるとかそういう次元じゃない。

彼奴らは海賊。
俺達は海兵。
お前は一般人の、しかも子供。


殺されない保証はない。

いくら海兵の見張りを置くと言っても、
今までで何人いなくなったか。
死んだんじゃない、恐怖でやめていった奴等。




「気をつけるんだな、死なねェ様に」




嗅ぎ慣れた葉巻独特の匂いが鼻をさす。
視界に映るこの煙たい灰色もとうに見慣れてしまって、ふっと息を吐き出せばまた新しいそれが視界の端に映っては消える。


『スモさんも、気をつけてくださいね』


大して思ってもなさそうな口調。

馬鹿言え、俺は海兵だ。
お前の何倍も強い。
まぁ、だからと言って安全な保証は無いけど。


子供の言うことだが、


一応、"この子供"の言う事は心に留めておこう。


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