▽優しい人 ページ31
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『ありがとうございました』
em「お力添え出来たのなら私も嬉しいです。今日の事、出来ればちゃんと復習してくださいね」
『了解しました』
エミさんの授業はわかりやすかった。時間も限られている為、重要な点を掻い摘んで詰めてはいたが今まで受けた授業よりやりやすい。
それは彼が話し上手というよりか、彼のその雰囲気にもあると思われた。だから力を抜いて授業に集中出来る。軍士官学校時代なんて真面に集中出来た記憶が無い。
em「あの、Aさん」
ふとして掛かった声に彼を見れば、彼もまた本を棚に戻すのを一旦やめて私を見ていた。
こうして目が合うのは、今日が何度目か。
「言いたくなかったら言わなくても」と私の逃げ道を用意してから彼は疑問を口にした。
em「実際、グルッペンさんとは如何なんですか」
予想出来なかった、といえば嘘になる。この前、資料館に総統に呼ばれた時も彼はいた。参謀役を担っている彼からすれば国の総統ともいう立場の人間の今後は気になるところでなのであろう。
総統は別に王では無い。
国王はいるし、総統は総統。確かに政治にも軍の態勢がある為ある程度は口出し出来る。
だからこそ、…いや、
この人達が慕う"グルッペン"という人間の行く末が気になって仕方ないのか。
それは期待か、不安か。はたまた漠然とした何かか。
『如何、とは』
em「…いえ。本来なら今度行わられる社交界の後、他国の方と見合い場を設ける予定だったんです。これは半年前から決まってたんですよ。
しかし、」
『私が現れてしまった、と』
今の言い方は棘が合ったな。申し訳ない。
面食らった顔のエミさんに何と言えばいいのかわからないが、それを察してか彼は話し始めた。私の言った言葉を肯定も、否定もせずに。
em「噂では聞いていましたから。貴方の事。
少なからず…我々も貴女に興味はありました。グルッペンさんがそれを聞いて黙ってるとも思いませんし、見合い場を蹴るのだって薄々理解できていた、」
筈なんです。
そう消える様な声を出したエミさんが何を思っているのかなんて、考えるのも無駄であった。
em「まさか…、いくら作戦だったとはいえ一度総統を連れ攫った人間を歓迎なんて出来ない」
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しおりん(プロフ) - ふ〜ん!3コメ!続編おめでとうございます(о´∀`о)更新大変だと思います、頑張ってくださいね(*´▽`*) (2020年6月23日 23時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
さわー - ふーん、2コメ!続編おめでとーございますっ!更新楽しみにしてますっ!(ですが無理はせず!) (2020年5月26日 15時) (レス) id: 14d9286bf4 (このIDを非表示/違反報告)
ピーたー - ふーん、1コメ!続編おめでとーございます!更新待ってます! (2020年5月26日 12時) (レス) id: a37e444ba1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:零 | 作成日時:2020年5月24日 14時