【wrwrd】戦場で敵に惚れられたらしい

▽有能な兵士 ページ12

静かに向けられた銃口は私の脳幹をしっかりと捉えて、その奥で更に口元を歪ませる兵士がいる。


『…はぁ。そういう茶番はいいよ、豚六君』


目の前にいる兵士に一言そう言ってからお茶を勧める。結構上等な紅茶なんだけどな。
もしかして、わざわざこんな茶番をしに来たのか？
もう一度彼に目をやれば、
数秒の沈黙を経て、彼は銃を下ろした。


tn「…」
『どうせ、弾も入ってないんだろう』
tn「…」
『沈黙は肯定と見なすけど』


目線を足元に落とした後、
視線を宙に彷徨わせてから様子を伺う様に目を私の方に向けた豚六君。
いきなり何故、と問えばゆっくりと口を開いた。



tn「…貴女が、"我々国"からの侵入者なのでは無いかと噂がありまして」



黙って聞いていれば…なんだってそんな噂が流れるんだ。

やめてくれよ、
あの総統の部下は絶対嫌だぞ(必死)





tn「何か裏で例の総統閣下と繋がっていて、それで逃げる機会を伺っているから処刑が無い、とか。

それを確かめるべく参上致しました」





敬語の鬼か、この子。


気を楽にして話していいと言っているのに。というか、年齢を見たがこの新兵と同い年くらいだったし。
どこまでも国の為に、という
正義感が強い彼。

今の発言により新兵の中の信頼度ランキングのトップに踊り出ましたね完全に。




『成る程ね…私と総統は敵だよ。
これはまだ機密事項なんだけれどね、あと数日もすれば総統サマの処刑日時が決まる』

tn「…処刑、」

『そう、処刑。ひっそりと行われるらしいが…
って、体調でも悪い？豚六君』

tn「いえ…」




処刑日時がいつになるのか。出来れば夜のうちにひっそりとやって欲しいものだ。
まぁ、この国の歴史上、
公開処刑なんてあまり無かったからな。
…どうなる事やら。






syp「あれ?密会でもしてるんすか」







突如現れた声にびくりと大袈裟に反応すれば、「冗談っすよ」と笑う男。



『ノック、ショッピ君』
syp「反応無かったんで」
『そりゃ悪かった』



部屋の中にずかずか入って来たショッピ君はちらりと豚六君に視線を向けた後、すぐにテーブルの上にある銃に目を向けた。

「何ですかコレ」と怪訝そうに銃を手にしたショッピ君。



syp「うわ、弾入りじゃないすか」
tn「…」
『…』




…ま？

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