命がいくつあっても足りない。【赤井秀一】

▽15話___「負けず嫌いな」 ページ20

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江戸川コナン、という子と会って数時間。



何故だか歩美ちゃんや光彦君、それから元太君という男の子まで加わって工藤邸には結構な人数が揃っている。
彼等が工藤邸に来た時、コナン君が「お前らまで…‼」と一瞬焦った様だったけれどお前ばっかずるい、という意見で一緒にお茶することになった。



『意外と人数いますねー…』
「賑やかな方が楽しいですから。そういえばAさん、ひとつ良いですか？」
『…はい、？』



沖矢さんが遠目に子供達を見ながら私に話しかける。
少し余裕な笑みを浮かべながら、
部屋の光を眼鏡が反射させる。
それだけでもまぁ結構格好良かったりするのだが…
目の奥が怖いので真面に見れていない。





「先程、ホームズの話は飽きる程聞いたと仰っていましたが…それは何時ごろのお話で？」






不意に此方に目をやった沖矢さんは、にこりと笑みを貼り付けて私の返答を待っている。

興味ありげに身を乗り出した彼に思わず『は？』と素で返せば、面白そうに笑われる。
いつの話、と聞かれても記憶は曖昧で正確に答えられそうも無いのだ。



あれは"赤井君"から聞いた話。


出会ったあの日から数年経っていたし___

十数年前…。いや、年齢バレるやんけおい。
そもそも何年と答えるのが良いのか。年齢バレた瞬間に幼児化も全部バレそうだし。




『そこまで細かく覚えてませんよ…ただ、歳下の子から聞いたんで、妙に悔しかったというか』





自分より歳下の子の方がずっと有能だった、というのは上司としても結構悔しかったりするのだ。
勿論有能だ何だと言われて、褒められる枠に上司である自分も入っているのだが追い抜かれるプレッシャーだってある。

実際、追い抜かれてたな…やだ泣きそう。



「そうですか…何だか意外ですね」
『え、何がです沖矢さん』
「いえ。あまりそんな印象が無かったので…少なくとも、私の視界に写っている貴女は」
『へぇ…どんな風に見えてたんです？』



はは、と乾いた笑いが口から漏れる。




「負けず嫌いな可愛い人、ですかね」




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